松岡ななせ/藤城リエ 「遅れてきた生誕祭!?」 に行ってきました。
2018.10.12(Fri.) 松岡ななせ/藤城リエ 「遅れてきた生誕祭!?」 TSUTAYA O-EAST
明日もその先だって
答えは一つだった
僕らの儚い美しさ
人生のほんの一瞬
夢を分かち合った
忘れないたとえ離れても
先行物販で流れていたせつなくもどこか暖かい曲。
いつかのどこかで聴いたことあるいい曲だなぁとぼんやり考えていたら思い出した。
松岡ななせ「Vintage 」
頭のネジが飛んでいる新人アイドル2人が押さえてきた会場は渋谷のTSUTAYA O-EAST。
平日とはいえ最大キャパ1300人の一流ライブハウス。オルスタとホールの違いがあるとはいえAIKATSU☆STARS!スペシャルLIVE TOUR 「MUSIC of DREAM!!!」福岡公演よりもキャパシティがデカいというロックすぎる判断。本人たちはいつかの配信で採算は度外視し来たい人全員来れる箱にしたかったと笑ってましたが、実際のところ半分以下だとみすぼらしくなってしまうし勿論採算もとれないのでほんと笑っている場合ではない。ちなみに会場は彼女たちが選べたけど日時は事務所の指定だったみたいです。
このイベント、彼女たちのセルフプロデュース能力やステージパフォーマンスの実力に関しては確信できるものがありました。しかし、集客だけは努力だけでどうにかなるものではないしライブの成功は会場の空気感が揃ってこそのものなので集客が一番の勝負だった。
早い時期から広報活動、魅力的(独創的)なオリジナルグッズ、豪華過ぎるサポートメンバーの発表等々情報を小出しに、公演に向けて良い感じに気持ちを高めていく宣伝をやっていたのは流石だったなぁと。
もちろん起爆剤となったのはこのイベントを機に松岡ななせ/藤城リエ両名が活動休止期間に入るという報告でありそれで200枚以上はチケット捌けたかと思うが、少なくとも彼女たちは出来る限りの広報活動をやっていた。
最大1300人に対して800人くらいは集められたら大成功だろうという心持ちでしたが、ほんとに800〜900くらいは集まっていたと思う。
開演直前、箱がしっかり埋まっていく光景にゾクゾクしその時点で優勝を確信出来たし、それだけ凄いことを2人は既にやってのけていた。
https://twitter.com/matsufuji_birth/status/1050770095469867009
開幕キズナSparkling World(リエ・ななせ)は先行でチケット取った様な人には予想できた選曲だったと思うがぶち上がりました。ちなみに僕はLIVE版かitunesで売ってる音源(声優だけ歌ってる)しか聴いたことありません。
2日後の星咲花那イベントでこの曲が歌われたそうで後は未来みきですね。
Trancing Pulse / Triad Primus(リエ・ななせ)
沸き方からもなんか有名っぽいアニソンというのはわかりました。
デレマスのアニメは見てたはずなのでさらっと聴いたことはあったはずだけど、Triad Primusというクールアイドルユニットといえばアイカツでほとんどクールキャラを担当し続けてきた2人のイメージに完璧に合致する素晴らしい、掴みの選曲でしょう。
はじめのMCは人が埋まってよかったという話題が中心。
スカスカだったら公言通り藤城が会場を練り歩くだとかセンターステージを作って暴れる妄想をしていたとか冗談交じりに言ってましたが、会場が埋まって2人がほんとに喜んでくれているのがよかった。
あと衣装がバケモンかわいい。世界一かわいい!
世界一かわいい!最高の衣装💙💙💙#遅れてきた生誕祭 pic.twitter.com/Za6EpR6uGq
— 松岡ななせ (@nanarin_ebc) 2018年10月13日
https://twitter.com/FujishiroRie/status/1050962733854642176
や、最高。
藤城リエ氏と同じく松岡ななせの髪色はダーク系単推し芸人だったのだけれどこの日のななせの髪色も明るめでした(ピンクアッシュだったらしい)。でも煌びやかな衣装に明るめの髪色が映えて最高可愛かったです、はい。
あと藤城リエが個人現場でアイドルオーラ全開の衣装で登場したのって、少なくとも今年ははじめてだったけど可愛すぎてひっくり返っちゃった。アイドルじゃん。
1,2,Sing for You! りえ from AIKATSU☆STARS!
アイカツ5thフェスでは泣いちゃったけど、
遠藤瑠香生誕祭東京と今回は笑顔で沸けた。
藤城りえと桜庭ローラを代表する曲。
愛のロックンロール!
輪舞 -REVOLUTION / 中川翔子(リエ)
少女革命ウテナのOP(いまだ見てない)
いくつかカバーがある中の中川翔子ver
リエのイメージに合致する強い曲でした。
どこかのタイミングのMCで今回のイベントほんとに自分たちが歌いたい曲しか歌ってないからね!って言ってたけど、演者が最高に高まってこそ会場も高まるので正しい。
藤城リエどうせ『赤い公園』歌うんでしょっていう予想をいい意味で裏切る選曲の数々だった。
(それはそうと赤い公園の「journey」藤城リエっぽさ全開の良い曲なので聴いてください)
Miracle Force Magic ななせ from AIKATSU☆STARS!
ななせ曲の前に少しMC
1st、2ndライブを経て松岡ななせはもうアイカツ曲やらないんじゃないかみたいに思う人もいたみたいだけど、私の中ではアイカツ曲は大切すぎてちょっとやそっとの気持ちでは歌えなかった。でも相応しい場面が来たらもちろん歌いたかった。そして今日はそういう機会だと思った。(意訳)
───そんなこと松岡マジオタクからすれば言葉にせずとも分かりきっていたことだけど、それでもこうしてアイカツを大切に思っている気持ちを改めて表明してくれたのがどこまでも誠実だしうれしかった、
そんなMiracle Force Magic。
("チューニングは同じ気持ちで"で藤城出てくるかもとは思ってしまいました)
ここからサポートバンドメンバー集合
ここからが本当のLiveだ…
(戸波のわ可愛すぎんか…)(最古参の顔つき)(でもなかじゅん推し)
テレビアニメ『紅』のOP
(紫ちゃんがかわいいだけのアレ)(おい)
ノレない栗林みな実OPなんて存在しない、
しかも生音、最高
THE DAY / ポルノグラフィティ(リエ)
最近ヒロアカ少し見始めたけどめちゃ良い
アガるしまわりたくなる
やっぱフジシロックだな〜
swim / 04 Limited Sazabys(リエ)
どこかで聴いたことある気がするな〜
と後々確認したらSB69に提供されてる楽曲で聴いたことありました。
直向きに突き進むための青春バンドサウンドと藤城リエは好きか?(好きでしょ)
ここでまさかの関ジャニ∞
そういえばインスタでずっと前から好き好きアピールしていましたね。
曲前のMCで私の座右の銘は「なんとかなるさ」。お気楽そうに見えるかもしれない私だけどもちろん先行きへの不安はある。それでも人生なんとかなってきたし、なんとかなるって心持ちを大切にした方が人生面白いじゃん。(意訳)
さらに関ジャニ∞に関する補足として終演後のインスタライブにて、"わたしはカテゴリとしてはアイドルをやってきたけど、アイドルってかわいい系の人がなるものだと思っていたので向いてなさを感じていた。でも関ジャニ∞のライブをみたら全てが覆った。関ジャニ∞自身正統派王子様系のアイドルではないけどそれぞれが好きなことをのびのびやって輝いているのをみて、わたしも好きに正直にやっていこうって思った。(意訳)
この日のステージ、カッコよさ以外でもかわいい衣装やかわいい笑顔で藤城リエがアイドルとして輝きを放っているのがヒシヒシと感じられた。
───ってな感じでリエが楽しそうにのびのび歌ってたら曲の終盤上手側から松岡がそろーりそろーり摺り足のニヤケ顔で登場。
(直後のMCで歌詞に"呼ばれてなくてもジャジャジャジャーン"ってあるじゃん!?との弁)
のびのびとした2人である。
→Go ahead!(松岡ななせ)
松岡ななせ三曲目のオリジナル初出し
この曲は遠征帰り家で歌詞を見ながらCD音源を聴いてもほんとに良かったのだけど、この日のLive版がほんとに良くて個人的なハイライトでもあります。
1番サビの終盤でいつかの様な歌詞飛びラララ〜があったわけだけどそれに動揺を見せず、2番の入りから最大限の感情を込めて大切に歌ってくれていたんですよね。
間違えるのが怖くて立ちすくんだ
そこからが運命切り開くチャンスと
何処かで声がする
2番の歌詞こそ中野サンプラザやツアー東京荒野の奇跡からその先を切り開き続けてきた松岡ななせの歩みを体現したものであったし、技術や外面だけでなく松岡ななせのこういう精神性が大好きなんだ…
PRAYING RUN / UVERworld(ななせ)
ラップ調の非常に難しい楽曲、これもハイライトのひとつというか→Go ahead!からの松岡3連曲はほんとヤバかった。ななせの感情爆発
松岡ななせくらい出来た人間になると上手くいかない事を他人の所為にすること、ましてそれを前面に押し出すことなんてありえないと思うんですけど (近しい人は別)(AIKATSU GENERATIONのMVのメイキングのstars!パートで一人とちった堀越に『お前ーッ‼︎』って迫るシーンほんと好き)、
曲前のMCで、わたしだって文句があるならお前が"全部やって確かめればいいだろう"と思うことが多々あるし会場の誰しもそういう思いを抱えながら生きていると思う。今日はそういう思いを皆にも思い切り発散して欲しいと思うとの熱いMCと熱唱。
この曲はサックスが加わりエッロい音色と松岡の衝動が混じり合う最高のステージだったなぁ。
終盤は息も絶え絶えって感じだったけど全て出し切った松岡がカッコよかったよ。
曲が始まってから松岡ななせ、なんとここで当日ドンキで買ってきたキンブレ取り出し振りまわしなが歌う。
今日はカッコよさ中心の選曲だったけど、リスフェス名古屋で見せたようなアイドルソングでゴリゴリ押してくるのも間違いなく彼女のアイデンティティであり、アイドルソングと会場に広がる虹色のペンライトは最高にアイドルしてた。
実はこの曲ななせは結構涙目になりながら歌っていて、アイドルを泣かせるのはステージに立つアイドルにしか見えない虹色の光景なんだろうなぁとツアー福岡公演の気持ちを思い出してしまった。
曲が終わってからただエビ中の良さの宣伝をする姿はただのオタクだった。笑
トークコーナー
ここまできてようやく衣装の話、馬鹿なの?
ストリートーファイターみのあるチャイニーズモチーフ衣装は本人たちの思いつきと希望を元に急ピッチで制作された。デザイナーさんには感謝しかない。
ブロマイドの衣装は生誕祭Tシャツのイラストに近いものをAmazonで見つけて着てみた。アメリカのハンバーガー屋風なのはハンバーガー好きの藤城リエの趣味。
生誕祭であることを思い出しハッピーバースデーリエななせを客に歌わせる
事前に観客から集めた質問コーナーではお互いの尊敬する部分について、
ななせ「はじめりえちゃんが入ってきた時歌めっちゃ上手い子が入ってきてヤバいと思った」
と上げたあと、
「でも顔はヤバかったよね(笑)」
と超絶dis。
(ラジカツスターズ!のトップ画面を思い出し笑っちゃったよね)
ライブ恒例の一番遠くから来た人選手権
海外から来た人〜で手を挙げて北海道と答えるおもんなオタクにヒリつく松岡、しかし本当に中国から来られていたお客さんがいて、2人から今日の中国モチーフ衣装はあなたのために作ったんだよと超爆レスをもらう。
ななせさんの緊張のほぐし方→メンバーに背中を叩いてもらう、は確かツアーの特典映像にも収録されていたはず。
抽選コーナー、3ショチェキ20枚と聞いてこれは推されると思ったけど推されなかった。
松岡がドンキで買ってきたキンブレはマジで欲しかった。
ところでこのトークコーナー、30分とかいうレベルじゃない長尺使ってて観客も正直長いと思ってたと思うけど退屈させることなくまわせる二人のトークスキルというか熟年漫才がスゴい。
この前未来みきも合わせて3人で駄弁ってた時、AIKATSU☆STARS!の中でボケは るか・せな・かな、ボケツッコミ両方いける(場をまわせる)のは みき・りえ・ななせ、普通の人はみほちゃんしかいないって話をしてたけどその通りだなって。(頑張れみほてん)
snow tears / 中川翔子 (リエ・ななせ)
ここから二曲は静かな曲…
松岡1stを締めたのはSCANDAL『HARUKAZE』という春モチーフの曲だったわけだけど、これから充電期間に入る2人がここで選んだのは冬の曲、ニクイね。
ここからの2人の歌が、関係性がほんとうに良くてただただ引き込まれていった。
この曲か次の曲の2番の入りでリエがななせにアイコンタクト求めて、少しして気づいて見つめ合って笑っていたのが素敵だったなぁ
空のカーテン / ももいろクローバーZ(リエ・ななせ)
めっちゃ良かった…
これも冬の曲…
多分Dメロ?二人がたたみかけながら歌う部分が特によかったんだよ
交差点で どっちに行けばゴールなんだろ
大丈夫さ 行き止まり そんときゃ
引き返してまた始まればいい
交差点って歌詞…
松岡ななせ/藤城リエは充電期間開けもユニットは組まないと公言しているが、こうして芸能活動を続けていって、本人たちのやりたいことがまた交差する瞬間があるんかなぁ、また一緒にパフォーマンスしてくれるんだろうなぁと思うと楽しみで仕方ない。
はい。アイカツ歌唱担当の個人現場で沸かせる曲といえばとりあえずマクロスというのがあります。(アニソン界全体にいえることですが)
だからこの曲はただピンチケになって沸きました。
最後にブチ上げ曲を持ってくるあまりに王道でベストな選曲。
アンコール!からリエななせ!に彷徨いながら(リエななせ!は拍がとりづらく)今普通のアンコール!に戻った
裸足のルネサンス/ななせ・りえ from AIKATSU☆ STARS!
覚えてません。
正気に戻ったのは落ちサビ前の間奏部分で、えっマジでゴリゴリの生音バンドverで裸足のルネサンスやってんじゃん、ありえねぇとぼんやり考えることくらいしか出来なかったけど、これは一生の思い出。
武道館から生き永らえてきてよかったというか、武道館以後も楽しいことばかりだよ。
"未来を見つめたら うれしくなる 世界はたのしい"
るか誕東京の永遠の灯とかみ〜な2stのエピソロも高まりすぎてほとんど覚えてないけど、やっぱりLIVEこそ最高を超えうるしこれからも最高を掴みにいきたい。
アイカツオタクには歌唱担当現場に足を運んでほしいよ。
最後の曲の前に藤城リエがルネサンスの構成からは外れていたキーボードとサックスを呼ぶのを忘れていて焦る。のわたむと薗田さん揃って最後の曲へ…
と思いきや、キーボードから生音セッションがはじまりハッピーバースデーDearリエななせ合唱のサプライズ
メッセージアルバムと花束の贈呈
LIVEに夢中で忘れていたけど遅れてきた生誕企画アカウントさんお疲れ様でした。
そういえばメッセージ書いていたわ。
ガチ泣きのリエななせ
ななせはまあ予想通りだけど藤城リエが、
普通こういう生誕イベントってサプライズがあるものなので2人でソワソワしてたけど、普段の行いもあってファンやサポートメンバーから内心祝ってもらえないんじゃないだろうかというのがあった。
さっき一回最後の曲振り間違えちゃって、今度も予想外のメロディが流れてきちゃってほんとにやらかしてしまったと不安で仕方なかったけどサプライズでよかった(ToT)
と繊細な内心を吐露しつつガチ泣きしてたのがほんとかわいくてきゅんきゅんしちゃった…
でもいつまでも顔が崩れたままの松岡より早く平静を取り戻して最後の曲歌うよって引っ張っていたのが頼もしくて、これからもよろしくお願いしますよと。
LIFE〜目の前の向こうへ〜 / 関ジャニ∞(リエななせ)
最後も関ジャニ∞
今これを書きながら歌詞を読んでいるけどめちゃくちゃ良いし〜目の前の向こうへ〜ってサブタイトルが特に素敵だ。
二人がサイン付きカラーボールを投げながら歌う、スゴいアイドルのライブみたい!笑
特に藤城リエがボールのひとつひとつに熱いチューしててやっぱアイドルじゃんってきゅんきゅんした。
終わりだけど終わりじゃないから、
どこまでも前向きな歌詞とどこまでも未来向きの今を見せ続けた二人の遅れてきた⁉︎生誕祭でした。
(ちなみに最後の最後の挨拶時のBGMが2人をつなぐ大切な曲きらめきメッセンジャーで、サビのところ少し歌ってくれたんだよね…はぁ…好き)
終演後のハイタッチ会はこれだけの大人数ゆえ、流れるような剥がしだったので僕がななせに用意した台詞、
「サヨウナラじゃなくて、きっとマタアシタだよ」も、
ただのオタクのキザな台詞みたいな感じで流されていったけど、
リエに衣装のスカートの刺繍エルザっぽさもあって良い!って言ったら、
リエ「それ!思った」
ぼく「それ!」
後ろのオタク「それ!」
っていうのも出来て最後まで楽しく明るい気持ちで会場を後にしました。
「サヨウナラ」じゃなくて、きっと「マタアシタ」だよ。
ところでこいつはどこに着ていけばいい?笑
アイカツ!シリーズ5thフェスティバル‼︎DAY2に捧ぐ『人生/ 書物/ 叫ぶ、瞬間』
2018.9.9 宵の口 幕張メッセイベントホール、
登壇者最後のあいさつを任された諸星すみれさんが客席で娘の姿を見守っていた母へ贈った言葉に、会場はその日最高の愛に包まれた。
「お母さん、産んでくれてありがとう」
アイカツとは一体なんだろうか?
筆者が考えを巡らせていた概念が諸星すみれさんの言葉によっていよいよ実感を伴って浮かびあがってきた……
──アイカツとは人生──
人生
深夜アニメ以外にもディズニー作品の吹き替えや女優業など、幅広く活躍する今をときめく声優のひとりに成長された諸星すみれさんであるが、アイカツが彼女の芸能人生にもたらした影響はあまりに大きく、間違いなく彼女をもっとも代表する作品になった。
彼女が挨拶で母と生への感謝を述べたのは、麻痺を伴って生まれてきた生い立ちとそれを支えて克服されてくれた家族への感謝が溢れたのだろう。
右半身まひを克服した諸星すみれ/芸能ショナイ業務話 - SANSPO.COM(サンスポ)
そしてその感謝を自身を代表作する舞台上、笑顔で報告されたことは最大の親孝行であるし、そのような空気が自然に出来上がるほど、5thフェスの2日間は"愛で溢れている"空間であった。
ひとつタイムリーな話をすると5thの数日後に声優の能登麻美子さん(アイカツでは星宮りんご役)が結婚&妊娠を発表された。(おめでとうございます)この5thでは当日の登壇が叶わない主要キャストの皆さんも場内アナウンスによって出演する粋な演出がなされていたが、おそらく主要キャストでは星宮りんごだけ登場がなかった(ティアラ学園長ごめんなさい)。しかしそれだけの事情があったのだと思います。
なんだかタイミング的に人生の転機みたいなものについて考えさせられましたし、こうして新たな物語が紡がれていく営みがうれしくなりました。
ちなみに5thでは能登さんの新録はなかったですがイベント最初の映像が、
「持ち替えるのよ、おしゃもじをマイクに」
だったんですよね。改めておめでとうございます。
脱線しましたがアイカツをやっていくということは人生をやっていくってことになると思うんですよ。
詳しくは次の項に続きます。
書物
DAY2も痺れるライブの数々でしたが白銀リリィガチ勢で知られる筆者が一番痺れてしまったのはアイカツスターズ!の生アフレコの新規オリジナルシナリオ。
ええ……所謂"ゆずリリ"です。
前後の詳しい文脈は記憶がヒートして曖昧なのでわかりかねますが、ゆずリリがビーチで二人きり佇むシーン、リリィがゆずに向けてヘルマン・ヘッセのある詩を引用しました。
「書物」
この世のどんな書物も
君に幸福をもたらしはしない
けれども書物はひそかに君をさとして
君自身の中へ立ち返らせる
"そこには太陽も星も月も
君の必要とするいっさいがある
君が求めている光は
君自身の中に宿っているのだから"
君が長い間
万巻の本の中に求めた知恵は
今どのページからも光っている―
なぜなら
今その知恵は君のものとなっているから
実際に引用された部分は" "で囲った部分だけだったかと思いますが、全文とても大切なことを表しているので読んでみてください。
これを実際に聴いた時、"アイカツスターズ!そのもの"を表しているなと感動したし、帰ってから全文を読んでアイカツと人生との関係そのものを表しているなと思いました。
少しヒリつくかもしれない話をさせて頂くと、田所あずささんが「アイカツ!を見ておけば幸せになれる」と仰ってる画像を無邪気に引用して尊んでいるオタクがいるじゃあないですか?
それは勿論インターネット遊びのひとつなんだけど、それが"あたかも本質であるかのように振舞い、アイカツは癒しだと本気で吹聴する層"は実在します。
これは"引用の取り扱い"に関する話でもあるのですが、田所あずささんがお子さんにアイカツの素晴らしさを伝えたいという文脈を無視して、クソオタクがそのまま引用することに意味はないと思います。
自分と伝えたい誰かとの文脈を汲まずに引用してしまう行為は雑。とっても雑です、ほよ〜。
確かにアイカツを見ている間の時間だけは幸福感に包まれているかもしれないが、それは本質的な幸せではないし"癒し"でしかないよね。
(別にアイカツの本質を癒しと捉えるのはその人の勝手だからいいんだけど、"アイカツの本質は癒しだと吹聴する行為"が許せない類の解釈違いなのでこうやって指摘している)
ここらへんでヘッセの「書物」に"立ち返り"ます。
アイカツを見ている間はポジティブな気持ちに溢れてなんでも出来そうな気にもなれるかもしれませんが、現実の世界を変えられるのは自分自身しかいないんです。
なりたい自分になる、という勇気の一歩を踏み出すのは他ならぬ自分自身の意思であるということは、皆さんアイカツから学ばれてきたかと思います。
「アイカツ」
この世のどんなアイカツも
君に幸福をもたらしはしない
けれどもアイカツはひそかに君をさとして
君自身の中へ立ち返らせる
そこには太陽も星も月も
君の必要とするいっさいがある
君が求めている光は
君自身の中に宿っているのだから
君が長い間
本編や関連書籍、楽曲、ライブに求めた知恵は
今どのページからも光っている―
なぜなら
今その知恵は君のものとなっているから
引用の使い手白銀リリィが迷える桜庭ローラを温泉旅行に誘い最後、"自分の言葉"で諭すことが出来たのは引用を駆使しながらも自分の言葉を探し続けることが出来る人物だからです。
筆者にとってはアイカツが一番星なのでこのような引用(パロディ)になりましたが、「"書物"」の中に入るものはその人の一番大切にしている概念だったら何だって構わないし、その"書物"を参考し引用しながら自分の言葉や意思を探し、よりよい人生へ立ち返っていくことにこそ意味がありその軌跡のことをアイカツと呼べるのかもしれません。
これが序盤に述べた、
──アイカツとは人生──、論です【完】
5thフェスの出演者がみな輝いて見えたのはそれぞれがアイカツ(仕事、好きなこと、人生)をセルフプロデュース→実践し、アイカツを"体現"してきた人たちなんだからだと思います。
(役者という仕事自体キャラクターを自らの中に立ち返えらせ、体現していくものなのでアイカツとの相性がよい)
"体現"という言葉が出てきたので最後の項に移ります。
叫ぶ、瞬間
(oh oh oh・・・)
イベントの最後の挨拶の際、松岡ななせは言いました。
今まで声優さんと二人三脚や四人六脚で支えてきたキャラクターをこのステージで"具現化"出来たことがうれしいです。ありがとうございました。
補足までに、松岡ななせさんは白銀リリィ・七倉小春他多数のキャラクターの歌唱を担当されている方。ちなみに上記はうろ覚えかつ綺麗な感じに脚色しているので実際の挨拶は結構テンパってました(かわいい)。
私は"体言"という言葉を好んで使ってきましたが、それにしても"具現化"とは上手く表現されたものです。
例えばこの日の「Dreaming bird」は衣装とすらっとしたスタイルに至るまで完璧にゴシックの世界観を表していた上田麗奈さんが松岡ななせと交わることにより、より荘厳なゴシック世界観を具現化させていましたし、「Precious」を歌唱担当ささかまりすこ"ちゃん"と一緒に歌われた寿美奈子さんは作品を一緒に形作っていった歌唱担当さんと一緒に歌うことを条件としてステージに上がられたとブログに綴られていました。
ソロで「薄紅デイトリッパー」を披露された関根明良さんがステージで使っていた扇子は、歌唱担当美谷れみさんがこれまでのアイカツのライブで実際に使われていたものであり、一緒に舞台に立てて感激でしたと歌唱担当へのリスペクトを綴られていました。
そして富田美優さん、山口愛さん、堀越せなさん、松岡ななせさんによる「Message of a Rainbow」。
6人でステージするの夢だったからほんとに嬉しかった!
— 富田美憂 (@miyju_tomita) 2018年9月11日
またいつか!
🍬🌈🎀💜 pic.twitter.com/tL6DSvWTp4
"MoaR6人概念"
この5thがはじまるまでは歌唱担当やライブパートの扱いがどうなるのか?雑な扱いになるのではないか?と疑心暗鬼の気持ちがまあまあ強かったのですが、蓋を開けてみればキャストの方々がアイカツ愛やキャラクターを共に具現化してきた歌唱担当へのリスペクトに溢れていて、尚且つ素晴らしいサプライズライブの数々に、
となったわけです。
正直この大舞台で少しでも歌唱担当へのリスペクトが伝わってきたらいいなくらいの低いハードルだったのですが、"震えるような高みへと、夢は夢を超えて"いってしまったわけです。
だってねぇ…9.9は遠藤るかさんの誕生日当日だったわけですが出演者からのサプライズで、「ハッピバースデーディア るかちゃん」の大合唱までやったんですよ……浄化するかと思いました……
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ここで唐突に宣伝ですが、個人のアイドル活動!に勤しまれている各元歌唱担当さんの生誕イベがここのところ続いておりまして、この記事をアップした後だと9.28(金)は新宿BLAZEにて『遠藤瑠香による遠藤瑠香のための遠藤瑠香生誕祭2018 in TOKYO』(MC:未来みき、ゲスト:藤城リエ)
https://www.quartet-online.net/ticket/rukakikaku20180928
10.12(金)はTSUTAYA O-EAST(渋谷)にて松岡ななせ/藤城リエ合同イベント『遅れてきた生誕祭!?』
中田裕二 Lコード:75678|ローチケ[ローソンチケット] コンサートチケット情報・販売・予約
が開催されます。
どちらもライブ多めのトークショーイベントみたいな雰囲気になるかと思われます。狭い地下ステージとかではなくキャパに余裕があるのでご新規さんも参加しやすいイベントになるかと思います。特に『遅れてきた生誕祭!?』の方はロックな駆け出しアイドルがとんでもなく広い会場を押さえてしまい相当の余裕があるかと思いますので、是非是非よろしくお願いします。多分かわいい〜ってなると思うよ(^人^)
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さて、全然叫ぶ気配にならないのでそろそろ「Girls be ambitious!」の話に移りましょう。
"叫ぶ、瞬間"
とはGirls be ambitious!の歌詞に登場する表現であり、これを書いている時点でのアイカツフレンズ最新第23話のサブタイトルにも使われている素敵詩的表現です。
Girls be ambitious!フルの披露はアイカツフレンズサイドのサプライズのひとつで、やはり美山加恋さん可憐すぎました。ちなみに出来るオタクはりょ。りょ。よいしょと次の曲に備えて黄色のペンライトの準備していたのですがそれはありませんでした。
松永あかね、木戸衣吹、わか、るか、せな、りえで披露された『ありがと⇄大丈夫』も歌唱担当制の枠組みを飛び越えた夢のコラボレーションで、松永あかねさんがわか様からアイドルジャンプ(ハートがスキップ リズムPomPom ポップジャンプのアレもしくはアイカツ2期のイキービジュのいちご)を教えてもらったというエピソードも新たなSHINING LINE*概念のはじまりのように思えました。
しかし、翻せば松永あかねさんと二ノ宮ゆいさんは新披露の曲はなかったということです。
AIKATSU☆STARS!さんのクオリティと展開の早さに慣れていた身としては正直「おけまる」も「みんなみんな!」 も来ないのかーと思ってしまったのですが、冷静に考えると現役高校二年生が学業と両立しながら声優デビューするという生活に慣れるだけでも大変なことなのに、その上ライブステージの準備までとはなかなかいかないでしょう……
だからこそ、この日みれなかったステージを次の機会はみたい。彼女たちの成長の目撃者になりたいと強く思いました。(アニメJAM2018は行きません、ごめんなさい)
さて、これらの想像を超えたサプライズの多くをみてやはりライブをLiveで感じたいという気持ちを固めた筆者でありますが、「Girls be ambitious!」の歌詞にもある通り、
"舞台では 何だってできる 叫ぶような 瞬間を待ってる"
そう、舞台では何でも起こりうるし理性を超えて叫ぶような瞬間だって起こりうる。
5thフェスを締めくくる最後の掛け声
せーので、
「アイカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーツ」
は"ほぼ6周年"の万感の思いが込められた"叫び"になりました。
こうやってまた"舞台の上で叫ぶような瞬間"に立ち合いたいし、
多分これで終わりだなんて誰も考えないくらい
アイカツは常に"未来向きの今"をみせ続けてくれたし、
これからの10thや600thに向けて、
"サヨナラはいらない ずっとずっと…アイカツ!"
"Have a nice trip!!
Nice to meet you 旅に出よう
Nice to meet you 今からここから旅に出よう"
それぞれの物語・それぞれのアイカツをはじめて行かなければいけないと思っているし、
個人的にはアイカツに関わった人たちやアイカツフレンズの現場にも足を運んで、
"世界でひとつの 物語に立ち会えるキセキ
ページをめくるたびに 新しいキミと会える"
したいなと思っています。
"どこまで行けるか、なんて
どこまで行って みたいか次第でしょ"
"この出会いに、ありがとう"
"大好きって気持ちが動かす 世界にアイを
アイドル活動!"
(遅れてきた生誕祭!?でお会いしましょう笑)
アイカツ!シリーズ 5thフェスティバル!!<DAY1> 感想戦 「やっぱアイカツ」
アイカツ!シリーズ 5thフェスティバル!!DAY1
フェスがはじめる前、主に歌唱担当寄りオタクのモチベーションってそれほど高くない傾向があったように思います。
これまでのアイカツイベントと違ってどのようなイベント内容になるのかまったく読めなかったしそもそもちゃんとしたライブパートがあるのか懸念されていたし、それでもって強気のチケット代に幕張メッセとかいう辺境の地というハードルの高さもありました。
だから私はDAY1の物販には端から参加せず今年一の混沌をみせる物販TLを眺めながら本日のメインイベントは堀越せなさん(虹野ゆめ歌唱担当)が出演されている舞台『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 向かい風100%』だわ~とヘラヘラしていたのでした。
(制服姿のせなさん中学生にしかみえなくてめちゃくそかわいかったですね。お馴染みの顔芸もよき)
そんなこんなでアイカツのビックイベントは毎回会場の写真とか撮ってたはずなんですが今回は何も残っていなかったので代わりにこちらの写真を載せておきます。
それでは感想戦はじまります、フフッヒ!
───とっても2DAYを終えた今の私はアイカツの過剰摂取による記憶障害が生じているので詳しいセトリを載せてくださった方の情報を参考にしながら思い出していこうと思います。
主にライブの感想になると思います。
【1日目①】2018.9.8 幕張メッセイベントホール アイカツ!シリーズ5thフェスティバル!! Day1 セトリ 1/2(後半のライブパート前まで)(少々詳細めに書いたらスクショ4枚では足りなかった…) #アイカツ5thフェス #aikatsu #aikatsustars #aikatsufriends pic.twitter.com/r3tGcVj81n
— デュミ (@dominass) 2018年9月9日
【1日目②】2018.9.8 幕張メッセイベントホール アイカツ!シリーズ5thフェスティバル!! Day1 セトリ 2/2(後半のライブパート~ラスト) #アイカツ5thフェス #aikatsu #aikatsustars #aikatsufriends
— デュミ (@dominass) 2018年9月9日
ありがとう。🍓 pic.twitter.com/3lwhpbrnH9
開演前アナウンス
(三ノ輪ヒカリ、夏樹みくる、風沢そらによるお子さん向けのアナウンス)
突然洲崎綾さん(CV.夏樹みくる)の声が流れてきて、は?と思った。
あと風沢そらがクルクルキャワワ…と登場した時のざわつきのヤベー奴が来てるぞ感は笑っちゃう。
三ノ輪ヒカリが特によくしゃべっていてお子さんに、まぶしっ…と思ったらサングラスかけていいわよとかしんどくなったら係の人に知らせてねとかとてもいいお姉さんやってて感動した。というか本編よりセリフ長いんじゃってレベルで喋ってた。よき。
(ぽわぽわぷりりんによるアナウンス)
主に注意事項の伝達。
北大路劇場のバーゲンセール。
タバコ吸ったらおとめが水鉄砲で消火してくれるとのことで大人はみんな消火されてぇと思ってた。
北大路さくらがマジトーンで厄介行為への注意を読み続けるシュールめのギャグ。
神谷しおんは終始バランサーに徹する。
ここまでのアナウンスを聴いたオタクたちはこれは神イベになるんじゃね?と察しはじめる。
というのも、開演アナウンスを担当されている声優さんたちは今日のイベントに参加されない方ばかりで、そこまで行き届いた演出をさっそく入れてきたイベントへの期待が高まる。
(なお開演時間20分以上押す)
開演
声優キャスト勢ぞろい
皆アイカツモチーフの華やかな衣装
『SHINING LINE*』わか、るか、みほ、ななせ、りえ
えっアイカツ歌唱担当が本当に歌ってる、えっソウルマリオネットえっロックマイハートはスターズじゃんとか思いながらbpmが高まる
生アフレココーナー(アイカツ!)
・えっ急に生アフレコはじまったけど声優さんすごっ
・氷上のチュパチュパチュルボメガが聴きたかったけど紅林のふざけたチュパチュパチュルボメガもいいよね
・豊永さんのアドリブ力すごい
・公式はやはり、らんユリ推しではという話数チョイス
・劇場版アイカツ!屈指の名シーンであるところの「それ以上言わせるのかい?」を聴くために生まれてきた
・諸星すみれさんのツッコミに5周年の流れを感じる一同
・それぞれのコーデをほめる、ちなみにジョニージャージはAIKATSU! STYLEの既製品で会場内にもぼちぼちいるじゃねーか
・高田憂希さんがチュチュバレを少し踊り踊れる片鱗をみせる(伏線)
『lucky train!』みほ、ななせ
もちろんドーリーデビルのPRモチーフ衣装、えっ好き
ちなみに今回のフェス唯一といえるライブに関するおもらし情報が前日あまね〇ほさんから流れてきていたのでこれは予想出来ていたんだけどあれは大丈夫だったのかしら
『1, 2, Sing for You!』りえ
泣くような曲じゃないのに朝井彩加さんの参加が叶わないステージ上で藤城リエが元気に歌っている姿をみて涙が滲む
生アフレココーナー(アイカツスターズ!)
・いきなりS4で優勝
・諸星ヒカル終始ギャグ担当
・早乙女あこかわいすぎんか…セリフではないシーンでも小声で(うーん(><))みたいな声が入ってて悶える
・藤原夏海さんの声がかっこよすぎる
・藤原夏海さんの衣装がラフで私服?といじられるがとにかく声がかっこよすぎて夢女になってしまった
・日笠陽子さん以外の女性陣は若いですね~(笑)、日笠はおb、それ以上は言わないでーーー
・日笠陽子女性陣には甘々だがM4へのアタリがキツイ(収録中もスターズ現場女性陣仲良すぎてM4は端っこで待機していた)
書き下ろしアフレコ(アイカツスターズ!)
(ドラマの前にローラとひめパイセンがロンドンからせーのでアイカーツ!と皆にエールを送る)
───ローラが英国に渡って数か月
今年の夏もアイカツアイランドは開催される。
3年生になった私たち新S4が盛り上げなくっちゃ!(ただしハルカ☆ルカはいないゾ)
25代S4の協力もあり準備は順調に進むがリリエンヌが仕事で参加出来ずゆずはちょっとさびしいゾ……
と、そこへネオヴィーナスアーク来襲
エルザ「アイカツアイランドのすべてを奪う!」
何故かアイカツアイランドを賭けての連想ゲーム対決の流れになりここは俺たちが守ってみせるぜとM4がカッコつけはじめるも、
きらら「あこちゃんのことどう思ってるの」と吉良かなたをいじり始めると、
レイ「実に興味深いね」
エルザ「欲しいものは奪い取りなさい、キラ・カナタ!」
(レイ食い気味に)「興味深いね!!」
吉良かなた「これは予想外だ!」
で大爆笑
結局諸星ヒカルがなんとか和解に持ち込み終演───
『episode Solo』るか、みほ
あーーありましたね、ひめ夜空エピソロ
アジアンナイトほてんほんと好き
武道館からずっとおあずけされてる
「「「「by myself」」」」
またいつか出来る日が来ればいいなぁ…
『マカロン音頭』
からのまさかのマカロン音頭しながらフレンズ陣の登場
確かに一番緊張感高いであろうフレンズアフレコの前に会場を温めておくナイスな演出、そして木戸ちゃんかわいい
音頭の手拍子がばっちりで日本人のDNAに刻まれている
生アフレココーナー(アイカツフレンズ!)
・松永あかねさんも二ノ宮ゆいさんも声優として日が浅いけど達者ですよね
・フレンズ最新回(白百合姉妹回)までやっていて、珍しくちゃんと放送日に見ておいてよかったとなった
・美山加恋さん、ただイスに座ってるだけの佇まいが別格過ぎてただ目の保養
・MCは保村さん(あいね父)と遠藤綾さん(あいね弟)
・雑なフリに上手く答えられない松永あかねを木戸ちゃんが保護者面フォローする完璧なあいみお
ののリサ場内アナウンス
「このイベントまだ半分も終わってないんだってーー」でざわつく会場
(正直結構疲れてきたのですが……)
アイカツ!一夜限りの生MC
・コールアンド〜〜? 「レタスポン酢~」
一応小声では反応出来た
・山手線、池袋と巣鴨の間は~?? 「大塚~」
知らねぇけどおつか~っていえばなんとかなると思ってなんとかなった
・最後オリジナルスター☆彡の(Fu Fu Fuーーー)の練習のしてから、”本物”のライブパートへ……
ちなみにここまでのライブはすべて(short)
『オリジナルスター☆彡 』(short) るか、わか
アイカツ歌唱のバケモン(語弊)二人によるオリジナルスター
大空あかりが星宮いちごという一番星を目指すためのきっかけの曲だけど、
成長し巨星となったアイカツ歌唱担当のツートップ全力のパフォーマンスに会場の空気が一変する
『Blooming♡Blooming』(full) るか
あの武道館以降遠藤瑠香さんは舞台続きで、舞台の演出上で多少歌ったり踊ったりはあったでしょうけど本格的な歌唱ステージというのは久しぶりで───
というのはまったく関係なく、ていうか歌唱面でさらに凄みを増してまして、もうよくわからなくなりました(語彙)
フルだと分かった時のボルテージの上がり方!
間奏の超カッケーストロボ演出ダンス!!
これこそが”本物”のアイカツのライブなんだよ!!!
『カレンダーガール』(full) わか
再び出てきた瞬間やっぱアイカツのライブはこの二人からはじまっていくんだなと再確認
わか様も呟いてましたが、この日のソロ用のスペシャルな振り付けだったんですよね……
非の打ちどころがないあまりにも完璧なカレンダーガールでした
ここで会場の熱気のままに平川大輔氏一人三役劇場前フリからのM4登場
『僕らの奇跡』(full) M4
唯一ちゃんと知らないアイカツの曲キターーーーー(CD買ってない)
でもとても楽しみにしてましたし、あーーー知らねーーーとニヤニヤしながらもめちゃくちゃ楽しみました!
大きな会場で男性アイドル(そういうことにしときます)(ランズベリーマジイケメン)を見るのははじめてでしたがキラキラしててやっぱカッコいいんだよね~
アイドルになりたい、キラキラしたいってのは老若男女関係なくみんな持ってると思うよ
少なくともアイカツ現場に来てる人は、もっともっと 可愛くなりたい!(なりーたーい)と思っているはずだ
『アリスブルーのキス ~another color~』(full)[Vo.ナオ/涼川直人(CV:豊永利行)]
DAY1最大のぶち上げ曲ゥ!!!!!!
これ特に楽しみにしてた人は多いはずだけどそりゃぶち上がるでしょ
自分のぶち上がり基準は楽曲依存というより演者のパフォーマンスにも左右されるんですけど豊永さんめちゃくちゃ歌が上手いだけでなく、煽りが"異常に"上手くてドチャクソカッコよかったんだよね!
オタクが高まってうれしそうにしてるのはそれはそれでよきものだけど、演者がステージ上で高まってるのが伝わるのが一番うれしいしこっちもアガる、濡れた!!!
『コズミック・ストレンジャー』(full) るか、ななせwith ジョニー別府(保村真)
暗転から演者がスタンバイした時”推し”と遠藤るかのパレードコーデを見逃すわけがないのでおもらし声が出ちゃった…
今回のフェスで一番楽しみにしていた曲
ジョニーラップを一緒に刻むべきかは解釈が分かれるところでしょうけどせっかくの機会に、ジョニーライムを堪能しないのはもったいないのでただフロアに身を委ねたぜyeah!
個人的に中野ロンリー・グラヴィティへの思い入れが強くあれはあの時点での るか、ななせの差を強調するステージでもあったんだけど、この二人が最高の舞台で互角にやりあって高めあってるのがほんとに素敵で、さらには振り付けで保村さんとの絡みも多くてこれはとんでもないステージだなと、宇宙はもうダンスフロアだなと湧きあがったよ
サビの振り付けはロングラ「流れ星と一緒に、どこか行きたい。」のアレを流用するかと思ってたんだけど、腕ブンブン振り回して普通にめちゃくちゃかっこよかったし、全体的にビシッと手足を伸ばすフリが多くてダンディバ感も感じたよね
特にジョニーラップ一番の見せ所ではるかななせもずっと手を振り上げ煽るようで無限に高まっててもう最高だったこの日のハイライト
ちなみに流石にこれ以上本気で高まる場面もないだろうとこの時点でHP半分以上消費させていたのだが……
『Passion flower』(short) みほ、齋藤綾
は??
ほてんと齋藤綾さん???は??????!!!!
予想外すぎてえっえっと戸惑いながら高まってるうちに終わってしまい、うかうかすると過ぎ去る時間ってそれなんてシンデレラ
『MY SHOW TIME!』(short) ななせ、高田憂希
ンンンンッッッッッッッ
武道館で一生分泣きながら目に焼き付けたMY SHOW TIME!とソウルマリオネットが再びステージに、しかも隣では高田憂希さんが難しいストロボダンスを一緒に踊っている非現実感、こんな日が来るなんて思わなかった、夢のショータイム、生きながらえてよかった
『The only sun light』(short) 日笠陽子
曲が始まった瞬間シークレットゲストりさ(エルザ フォルテ歌唱担当相沢梨紗さん)が現れて歌っているのかと思った。衣装がエルザモチーフで似せていたのもあるけどそれ以上にオーラがエルザ フォルテを体現していたんですよ。
単刀直入にいうと泣きました
アイカツにのめり込む前日笠陽子さんの事が好きで、それこそ全然流行る気配のないてへぺろで滑りまっくってるとことかラジオの企画でカレーうどんをホースで食わされていたこととか、アーティスト活動していた時のライブ行ったんだよなーみたいなのが走馬灯のように流れてきて、そんな日笠さんがアイカツスターズ!のボスキャラにキャスティングされた時は驚いたしこうしてアイカツのイベントで最高のステージを魅せてくれる非現実感に泣いていました。好きです
『硝子ドール』(short) 沼倉愛美
ヌーーーア"ァァァァァァァァ
こんなんアイカツオタクが考えた最強の妄想やん……
ただ首を振ることしかできないよ
(ここでHPが力尽きる)
ここで同じ呼吸…同じリズム…の波動を感じて生き返る
ラゾーナ行ってないので初キメるアクセント!常にクレッシェンド!
やはりこの曲は強いし最後の♡もバッチリキマる
『個×個』 (full) 美山加恋、二ノ宮ゆい
フレンズの推しフレンズ曲
無駄な動きのない可憐な美山加恋さんと荒削りながら堂々とした二ノ宮ゆいさんのアイドル活動はまだまだはじまったばかりで、今後が楽しみ、目指せベストフレンズ
というかこの曲はほんと好きーー
『絆〜シンクロハーモニー〜』 (full) 陶山恵実里、桑原由気
えーとMVみてなかったので初見だったけど転調が面白いゴリゴリのゴシック曲、好きになったよ
お二人ともステージ経験のある方で歌もパフォーマンスも安心してみていられたし楽しかった
白百合かぐやちゃんは結構推していこうと思ってる
『6cm上の景色』 (short) 木戸衣吹
熱心な木戸ちゃんファンという訳ではないので他にどんなクソアニメに出演していたかとかほとんど知らないんだけど、木戸ちゃんはひたすら良さしかなかった
甲府ではかなり歌詞間違えが多かったと聞いたけどここ幕張では安心感のある安定と実績の湊みおになっていたよ
『ありがと⇄大丈夫』 (short) 松永あかね
ダンスは荒削りだけど歌がとても良かったし、ダンスもニュアンスを大切にしながら大きく身体を動かそうとしていたのが二ノ宮ゆいさん共々よかったよね。なんか昔の星咲花那さんを思い出しちゃった。
特に松永あかねさん歌がほんとに良くてクソデカ声量の持ち主で絶対伸びるってみんな思ったと思う。
『アイカツフレンズ』(full) BEST FRIENDS!
簡単な振り付け講座から一番のポジティブなアイドル活動!
途中演者が2階席に乱入していくくだりがあって、あっあそこらへん全然人が立ってなかったけどファミリー席だったんだと気がつく
フレンズごとのエリアチェンジ多くて楽しかった
乱入してそのまま最後のポーズ間に合わない芸やるのかなと思ったけど流石にそれはなかった
『スタートライン!』 (short) リエ、富田美憂
いや、や……、こんなんあかんやん
まさかユニット関係で歌唱担当と声優が一緒の舞台に上がるなんてそんなん普通できひんやん
そんなんできる?言っといてや、できるんやったら…
泣くやん…
富田さんを堂々と導いている藤城リエがめっちゃかっこいいんだよ…
ここからの流れは本当にすごかったんだけど、アイカツスターズ!に惚れ込んだ人間としてはこれが本当に刺さってねぇ……
落ちサビ辺りでアイカツスターズ!86話『涙の数だけ』の映像が流れるのもねぇ……
『START DASH SENSATION』(full) るか、下地紫野
これまでのアイカツライブで数々の伝説をつくってきた楽曲が新たな伝説を紡ぐとき……泣く
これに関してはもう記憶が定かではないのですけどカメラ演出が凄くてですね…
上手(かみて)前方の下地さんが下手(しもて)後方のるかさんを眺めているというカットをリアルタイムで神アングル、神焦点で演出していたんですが、これは映像化されてから見返してください
正直ほとんど覚えてないんだけどSDSはいつでも未来に向けて歌われてきたし、
未来向きの今を"キミ"と走ろう
いつだって、ここから、あたらしい夢
どこにだって行けるよ!
そういうことだよ…
「それにそういうの書くの、私得意だよ?そういう恋みたいな気持ち。」
はずかしい台詞いうとアイカツの事を特別だと思ったことがある人はアイカツに恋しちゃったんだと思う。
そしてアイカツのアイを誰よりも声と歌声で届け続けてくれたわか様と諸星すみれちゃんがそういう恋みたいな気持ちの詰まったこの曲を歌う意味な……
しかも声だけじゃなくて動きもシンクロしながらスタイル抜群のわか様といつまでも可愛く童顔のすみれちゃんの対比がトップアイドルになった星宮いちごとアイドルに憧れはじめた頃の星宮いちごでもあり、わか様が優しく見守りながらもすみれちゃんも最高の愛を歌ってくれて、
ありがとうの生まれる光(語彙の消失)
『ダイヤモンドハッピー』(full) わか、諸星すみれ、田所あずさ、大橋彩香
ここで、ダwイwハwツwww
や、とても笑うような場面ではないけどもう笑うしかないみたいな選曲と人選
もう考えるな 跳ぶしかない
あとのMCでころあずかへごがはじめて歌唱担当と歌えてうれしいみたいに話してた気がするが、大橋彩香&田所あずさ& STAR☆ANISでダイハツはやったことあります
『アイドル活動!』(full) 演者全員
雑に一言でまとめると魔法のアイカツカードのアレよりすごい
アイカツ愛を真正面から受け止めてくれた
冒頭で歌唱担当のオタクはそれほどモチベーションが高くなかったという話を補足すると、このイベントにキャスティングされた担当が少なすぎるし人選の意図が見えなさすぎたというのがあります。
歌唱担当の人選から逆算すればどのような選曲のイベントになるのか読めたし、そもそもこれまでのライブイベントを重ねアイカツ武道館を大成功させたSTAR☆ANISおよびAIKATSU☆STARS!は全員呼ばれて然るべきではないかというのがありました。(実際大きなイベント等に被っている担当はいなかったので最初からキャスティングしようと思えばできたでしょう)
出演者の中でも歌唱担当の扱いがどうしても小さく感じてしまうところがヒリつきの大変の原因だったと思います。
しかしそんな杞憂は三ノ輪ヒカリが喋り出したところから少しずつ晴れていきました…
この記事では拾えなかったけど服部ユウや堂島ニーナ、栗栖ここねも声で出演していたし二日間拾えなかったけど、らいちとノエルちゃんも喋ってたみたいだし織姫学園長も諸星ヒカルとコラボしていましたね。
多分主要キャストだと能登麻美子さん(cv.星宮りんご)以外ほぼ出演されていたと思いますが、イベントの最初の映像が確かりんごさんの、「持ち替えるのよ、おしゃもじをマイクに」だったかと思います。
極めつきはイベントには参加できなかった声優さん達によるフラワースタンドです。
有栖川おとめ役の黒沢ともよさん、北大路さくら役の安野希世乃さん、神谷しおん(らいち)役の瀬戸麻沙美さん、夏樹みくる役の洲崎綾さん、白鳥ひめ役の津田美波さん、桜庭ローラ役の朝井彩加さん、安野さんがダブルで出していたのはグンマーつながりで……
というように声優さんサイドの愛に包まれていたのが開演の段階で強く感じられて、これはいいイベントになるかもしれないと思ったものです。
そして後半、いよいよ声優と歌唱担当が同じステージに立った時そのクオリティにただ驚きました。
いくら声のプロとはいえ歌唱担当が積み上げてきた同じステージに立つことは相当の覚悟が必要だったでしょうし歌唱だけでなく振り付けまでこなしながらアイカツのキャラクターたちを共に形作られていく姿に、改めて5thの歴史と重みと愛を感じることができました。
舞台上で声優とか歌唱担当がそれぞれ名前を呼び合い称え合う姿にただただ感動して胸が詰まってしまったというのがこの5thで受け取ったものでした。
フラスタやアナウンスで愛を届けた声優さん以外にも会場へ足を運んだ歌唱担当(れみ、えり、ゆな、みき)やSNS上でアイカツ愛を語る関係者が後をたたなかったのも5thという舞台があったからでしょう。
5thフェスというイベント自体への不信感(そもそもほぼ6thなのになぜそこに拘るのか)
アイカツ公式のグッズ展開や物販の不手際、人気キャラとそうでないキャラクターの格差などここのところ少しづつ広がり続けていたアイカツ公式への不信感が、アイカツを愛する声優、歌唱、スタッフとそしてファンの愛によって大きな愛を再確認出来た。
そんな幕張夢の舞台でした。
アイカツ!第97話
「雲一つないね。夏真っ盛りの空」
「はい」
「でもね、雲がなくても星はある」
「えっ?」
「昼間だって、まぶしい夏だって、星は消えないんだよ」
「青空の、向こうの星……」
「うん! 輝きが見えないだけ。あかりちゃんもそうだよ!」
「えっ?」
「例えばそのテーピングだって、疲れてるその顔だって、
私には輝いて見えるよ。
一人で頑張って頑張って、苦しい思いが続いてて、
あかりちゃんには自分の光が見えなくなっているだけ。
光は消えてないよ。頑張ってるあかりちゃんはすっごくまぶしいもん。
どれだけまぶしいか、私がちゃんと見ててあげる」
誰か個人の現場ではなくアイカツだからこそ集まった人たちがいる出会えた人たちがいる
アイカツだからこそ見えた輝きがある
僕が終演後、「やっぱりアイカツなんだよなぁ…」を連呼するだけの人間になっていたのはこういうことです、そろそろ恥ずかしい表現は止めましょう
最後に一番感動した石川由衣さんのブログを引用します。
パンフレットにも書いたけど、
「皆さんのアイカツ愛を、いつか真正面から受け止めたい」という夢が、今回のイベントでついに叶いました。本当に熱かった!
みんなキラキラしてた!
そして、最っ高に楽しかった!!みんなのアイカツ愛が、ステージまですっごく伝わってきました!!
きっとこの2日間のことは、一生忘れません。
素敵な景色を見せてくれて、どうもありがとう!
補足するとパンフレットの方には、いつもSTAR☆ANIS/AIKATSU☆STARS!さんの愛を観客側から受け取ることしか出来なかった、だからこそ自分も真正面から受け止めたい、みたいな文脈で書かれていたように思います。
アイカツのイベントの多くを歌唱担当が支えてきたのは事実ですが、そもそもアイカツについて声優さんが語る機会というもの自体ごくわずかで、それこそ人前で愛を受け止める機会はほとんどなかったのです。
だから僕らもこれほどアイカツ愛で溢れる人たちが携わってきたことを知らなかったしその愛に打ちのめされてしまったわけです。
やっぱみんなで集まってアイカツ!する機会は必要だよ、もうすぐ迎える6thはいいとしても7thフェスはやろうよ……
DAY1の感想で完璧にまとまってしまったのでDAY2書くとしたらゆずリリしか書きません!
アイカツスターズ!第63話『ツンドラから吹く熱い風』〜白銀リリィの成果を振り返る
アイカツスターズ!第63話『ツンドラから吹く熱い風』[脚本:野村祐一/絵コンテ・演出:中島大輔/作画監督:西島加奈、石田智子]
白銀リリィの抱えるメインテーマが(主に身体面での)「抗えなさに寄り添いながら自分に出来ることを成し遂げていく」であるということに関してここでは詳しくは検討しないが、『Dreaming bird』と『荒野の奇跡』の歌詞
「この手のひらに残されたもので何が出来るかを見届けていかなくちゃ 」
「抗えぬ力に寄り添いながら 傷ついた翼をふるわせながら それでも羽ばたいてわたしは生きる」
共通テーマを考えれば十分な説得力になるでしょう。(それを踏まえた上で第92話「 私たちのエピソード ソロ」でのリリィの願いが「無病息災でアイカツ」だったので泣いてしまう)
『ツンドラから吹く熱い風』〜あらすじ
SPRドレスを獲得したこともあり例年より心身の充実を感じる白銀リリィは、夏期通例の高原療養は行わずゴシックヴィクトリア主催・ファン感謝ツアーへのチャレンジを決意する。
リリィ先輩へ恩返しがしたいと桜庭ローラも同行しツアーがはじまるが参加者が一人集合時間に遅れてしまう…そしてそれはギャグみたいに多発するトラブルと超展開への序章に過ぎなかった…
というわけでアイカツシリーズ特有の超展開中心のギャグ回という位置づけになると思いますが、実は白銀リリィの成果を振り返るための重要なエピソードとしても機能しています。
『ヴァンパイヤミステリー』『ギャラクシースターライト』『リトルフェアリー物語』などは、ドラマの中という完全フィクションの設定あってこその超展開ですが、『ツンドラから吹く熱い風』に関してはフィクションの線引きが曖昧になっているという特色がある。
白銀リリィといえば現実主義者的な描写が強い。
みんなと一緒でなければいけないのですか
私たちはみんなひとりひとり違います
感性も記憶力も運動能力も 体力も 顔立ちもスタイルも そして声の質も声量も
さまざまな個性があるのですから レッスンの仕方もさまざまで良いのです
みんなで一緒にレッスンすることで得ることも多いでしょう でも それが出来ない時は今あなたに出来ることを精一杯やればいい
それがセルフプロデュースです
(アイカツスターズ!第26話 奪えない夢)
桜庭:リリィ先輩は皆さんを笑顔にするために歌ってるんですね
リ:何の話ですか
桜庭:えっ?
リ:自分のブランドで作った自らが愛するドレスを着てステージに立ちたい ただそれだけです
言うなれば私は私自身のために歌っているのです
(アイカツスターズ!第33話 迷子のローラ⁉︎)
といった現実主義者である反面、誰よりも空想を愛する文学少女であるし、自身の運命を語る夢想家の側面もある。
今でも思います
ゆずがこの本を持って来なければ今の私は存在しない
そう、あれはまぎれもなく運命
運命を引き寄せるも抗うもあなた次第
(アイカツスターズ!第27話 小さなドレスの物語)
63話冒頭のオロスコピオサウルスを想像するシーン
恐竜だと説明されてるにも関わらず博識のリリィが想像していたのはどう見ても怪獣…そういう突飛のない想像力も内包しているリリィの二面性が示されたシーンでした。
また『ツンドラから吹く熱い風』というサブタイトルも、「ツンドラ」と「熱い」という両極端な二面性を引き立てる上手なタイトルになっています。だからこそ、このエピソードの構造自体、夢と現実の線引きが曖昧な二面構造になっており白銀リリィの二面性を表しているのではと思うのです。
さて本筋へ、現実的な抗えなさに寄り添うというテーマと空想的な夢も信じるという二面性を内包する白銀リリィですが、本エピソードで次々に巻き起こるトラブルに対しては「なんとかなりませんか… 」(困り顔)(かわいい)と懇願するだけで、自分では解決策を見つけられない無能な人として描かれています。トラブルに対して解決策を提示するのは自身が夢破れた四ツ星S4というむなしさ。終盤、リリィの夢の中で戦隊ヒーローになって戦うのがS4であるのも、身体の弱いリリィに対して力の象徴S4というのが強調される描き分けで、そこにはリリィが無意識下に抱く弱さへの負い目みたいな感情もあるのだと思います(そして桜庭もリリィ側というかなしさ)。
ただ、このエピソードにおけるトラブルに一貫されているのは、遅刻・忘れ物・停電など当事者の意志の強さや身体的な強さとは無関係に起こり得る、万人共通の抗えなさである。(弁当の忘れ物くらい気付こう!)
この世界は個人には抗えない事象で満ちている。リリィはリリィ独自の抗えなさを抱えているが本エピソードはそれとは関係なく人間が直面しうる抗えない場面を浮き彫りにした。そしてただ懇願することしか来ないリリィは自身では何も解決することが出来ないが、その窮地を救ったのは他でもないリリィのこれまでの成果である。
リリィの力になりたいと自主的にツアーに同行した桜庭ローラをはじめとして、行く先々で(偶然)遭遇するS4も率先して協力したいと申し出る。それはここに至るまでのリリィのアイカツが後輩たちにリスペクトされていたから。
S4戦では夢破れたがリリィだがこれまで彼女が周りに与えてきた影響は、S4を動かしうる成果となって返ってきた。自分では抗えない事態(自分の専門分野外も)も他人の力を借りて好転することもある。
思えば、第39話「四ツ星学園、危機一髪!?」も、それまで自らの道は自ら切り開いてきたと自負していたリリィが他人に支えられていたことを受け入れるエピソードでした。
夢は誰にも頼らず 自らの手で掴みとるものだと思っていました
でも それは愚かな考えでした
私は知らぬ間に多くの人の力を借りていた いつも誰かに助けられていた
本当にありがとう
(第39話 四ツ星学園、危機一髪!?)
本エピソードは第39話の補完であり、さらに先へと向かうエピソードです。そうやってライブステージの準備が整った涼風高原。かつて、私は私自身のために歌っているのですと述べたリリィが、このステージではいつもの口上の前に「感謝の場を与えてくれた全ての人たちの為」と他人への率直な感謝を述べた上で「白銀リリィ このひとときに 魂をこめて」と続けました。
第63話はこれまでの白銀リリィの総決算的なエピソードといえますし、「みんなはひとりのために」という精神を学んだリリィは後に、孤高のアイカツを続けていた騎咲レイと共に「裸足のルネサンス」を歌うなど、さらなる成長に繋がっていきます。
第63話の白銀リリィはライブまでに至る問題を何も解決出来なかったけれど、それでも最高のアシストを受けて最高のステージを魅せた。
それは裏方や各関係者のお膳立ての上で輝くアイドルという存在そのものでもあるし、いかなるドラブルが起ころうとそのステージで観客を魅了されられることこそアイドルにとって何よりも大切な資質であるという、アイドルアニメを代表するエピソードのひとつだと刮目されたい。決して野村祐一の暴走ではない。
(停電中の人里離れた高原にどうやって観客が集まったんだとか細かい話はどーでもいーんだコノヤロー)
抗えなさやファンや仲間に支えられていることを受け入れ、今の自分に出来ることに魂をこめること。そんなテーマとリリィが向き合うための『ツンドラから吹く熱い風』でした。
そして第100話『まだ見ぬ未来へ☆』にて、リリィは第63話では務めきることが出来なかったツアーガイドの役目を果たし、アイカツスターズ!という最高のアニメの幕は下りたのです。
『リズと青い鳥』映画語りと視点についての話
はじめに 〜映画を語るということ〜
『リズと青い鳥』と山田尚子について語る前に映像、音楽、文学その他すべての文化芸術や他人と対峙する時の心構え、というと大袈裟なので個人的に大切にしている所感を述べておく。
この項では『リズと青い鳥』の本編に迫るネタバレなどには触れない。述べることは批評において欠いてはならないと思っている視点についてなので、この部分だけでも多く読まれて欲しいと思う。
最後の挨拶では、種崎が「アフレコ前に監督が説明してくれたことで、私の心にすごく残っている言葉が『すべてのものが傍観者。風も木も空も2人を見守っている。そんな作品です』。観終わったあとにそれをすごく感じた」と明かす。そして「作品を観ていただく方の気持ちや視線もこの作品の一部になるのでは、と思う」「2人のことを見守ってください。じーっと」と上映を待つファンにメッセージを届けた。
「すべてのものが傍観者。風も木も空も2人を見守っている。そんな作品です」
ここに注目します。
この物語の当事者は鎧塚みぞれと傘木希美であり、学校・部活モノとして見ても極端に二人だけにフォーカスが絞られた物語構造になっています。そしてそれこそが「響け!」ではなくオリジナルタイトルの映画を作った意味である訳です。
この映画において鎧塚みぞれと傘木希美以外は当事者でなく傍観者。云い得て然りだと思います。
よく、映画の”感想”において登場人物に”感情移入・共感"出来たかどうかが評価基準とされるケースが見受けられますが、これは映画体験において視聴者は傍観者に過ぎない事を強く意識させる山田監督のコメントです。共感出来るかに関わらず傍観者がスクリーンの事象に介入することは出来ないし、出来ることがあるとすればただ見守り何かを受け取ろうとすることだけではないでしょうか。
「作品を観ていただく方の気持ちや視線もこの作品の一部になるのでは、と思う」「2人のことを見守ってください。じーっと」
繰り返しますが映画に対して我々視聴者は傍観者でしかないのでじっと見守り、何かを受け取る姿勢で見守ることが何よりも大切になるのです。
鎧塚みぞれ役の種崎さんは完成披露試写会の配信でこの映画について、学生時代同じような体験がありみぞれに強く共感できると仰っていました。しかしそれは特殊なケースでありすべてが共感出来ることや理解に及ぶことばかりではないかもしれないですが共感・共鳴出来るポイントを探しながら二人を”見守って”もらいたい、みたいなことを重ねて仰っていたように思います。
多くの映画や歌や文学や文化芸術に触れていると稀に、 ”これはわたしの為の作品だ" 、 "この登場人物はわたしそのものだ” みたいな強い共感性を覚える作品に出会える事があるかもしれません。種崎さんの場合のこの映画がそうであったように。
強い共感性を内包する作品はおそらくその人の心に深く突き刺さりその後の人生も寄り添っていくのでしょう。それは素晴らしいことだと思う。
それらを踏まえた上で私が試写会でこの映画をみた時共感性の強い映画であったかと問われると完全にノーです。
そもそも私のアニメシリーズにおける鎧塚みぞれに対する評価は典型的な他人依存的キャラクター。ビジュアルはだいしゅきだけどキャラクター性ははっきりいって嫌いでした。
しかしこの映画で丁寧に切り取られた鎧塚みぞれの繊細すぎる感情の表出。細やかなしぐさや表情のひとつひとつが愛おしく思えたし、この映画を思い返した時どうしようもなく鎧塚みぞれのことが好きになっていました。
映画『リズと青い鳥』では、偶々みぞれと希美という二人の女の子の物語として描いていますが、誰の心にでもきっとある、形を変えてでも感じたことがある「思い」を描いた作品だと思います。100人の方がご覧になったら、100通りの感想があるんじゃないかなぁと思うので、観た後にちょっと語らってみたくなる、そんな映画になっているのでは、と思います。どうぞ、公開をお楽しみに。
誰の心にでもきっとある、形を変えてでも感じたことがある「思い」を描いた作品だと思います
キャラクター性や映画全体を見たときに好きになれない部分が多々あったとしても、ひとつひとつの描写を受け止めていけば好きな場面が見つかるかもしれない。どこかに共通項を見いだせるかもしれない。映画ってそういう多面性を持った芸術だと信じています。
少し過激なことをいうと、どうしても気に食わない映画や描写があったとしたらその理由を分析して指摘すればいいだけだと思います。自身の内面の不満を垂れ流す行為は無意味です。
『リズと青い鳥』の様に無駄な説明を省き多くを映像と音に委ねた、受け取ることに集中力を有する作品に対して"期待と違った"、 "感情移入出来なかった" などの感想がもしかしたら出てくるかもしれないので先に対抗策を打っておくというのが本稿の真の目的であります。
実際試写会の感想を漁っていると、「高校生にもなって鎧塚みぞれは他者依存し過ぎではないか」だとか「みぞれと希の関係は友情を超えているのでは?」みたいなへっぽこな事をいってる人が実際にいて、それはそういう人間や関係性を描いた映画としかいいようがないんですがなんでしょうかこういう、自分の理解を超えるモノにまともに対峙出来ない姿勢は。
自分が理解出来ないものに対して否定的・感情的になってしまうのは発想が幼稚だからです。
道理が分からない事象に対して自分の気持ちを整理できない。コントロール出来ない自身の不機嫌さを何かの所為にしてしまいたくなる。
そういう情報処理の仕方は子供的な特徴であり世界を知り自分を知り受け止められるものが増えて大人になっていくはずですがいつまでも幼稚なままの大人も少なくないですし、こと映画に関しては時間とお金を消費しているという免罪符を掲げることによって平気で文句を言ってもよいと考えている人が少なくないようです。
"面白くなかった" や "理解できなかった" という感想はその人にとってはそうでしかないのでそれを悪くいっても仕方ないですし自身のコミュニティーの中で愚痴をこぼすこともあるでしょう。にんげんだもの
しかしそのような愚痴や自身の見識の狭さをわざわざ映画レビューサイトに書き込んだりハッシュタグをつけて世界に呟いたりする行為はただのストレス解消で生産性がない。社会性がない。
"理解できなかった"
"描写が足りなかった"
"期待と違った"
"感情移入出来なかった"
などはよく使われるワードですがほとんどの場合足りてないのはその人の脳みそですし、"期待と違った"に至っては実際目にしてきたものの話は一切しておらず只の自分語りである。
一見指摘に見えてその実、己の肥大した自意識を平気で投げつけている人って少なくない。
映画についての語り口があるなら存分に語ってほしいし、自意識の話しかする気がないなら映画である必要性がないので他でやればと思う。
わたしは"映画"について語りたいし、"映画を通して湧き出てくるあなたの感性"と語りたいのだ。
「作品を観ていただく方の気持ちや視線もこの作品の一部になるのでは、と思う」「2人のことを見守ってください。じーっと」」
『リズと青い鳥』の当事者は希美とみぞれの2人だけだったが、わたしはこの映画の当事者に少しでも近づきたくてこれを書いているし、そういう人が少しでも増えて欲しいと思っている。
見守る(受け取る)謙虚な姿勢がないと語り合う(相互作用する)ことは出来ない。文句なら一方的にいえるけど互いを尊重出来てないと語り合うことなど出来ない。
そんなところが第一項の要旨でした。
そんなこんなで長い前置きになりましたが、
ようやく『リズと青い鳥』について、"私の視点"から語っていきたいと思います。
(以下本編の内容に触れていきます)
第三の視点 高坂麗奈
私は撮影や映像に詳しい訳ではないのでボロが出ないようにしたいところですが、本作は被写界深度が浅い(ピントが近い)寄せの映像が多く使われており、特に鎧塚みぞれに関しては被写界深度が浅い接写が多用されているかと思います。山田尚子がいかにもアニメ的で画一的な画が撮れるパンフォーカスよりも接写や定点カメラを多用した実写的な撮り方を好む映像作家であることは多くの有識者が指摘されているところだと思うので詳しくは他記事など調べて頂ければと思いますが、『リズと青い鳥』に関してはとりわけ、鎧塚みぞれの表情に迫る様な被写界深度の浅い映像やけして広くない教室の椅子や机から覗き見る構図が多用されてます。
高校の吹奏楽部を舞台に、少女2人のみずみずしい青春を切り取ったアニメ映画「リズと青い鳥」の公開に合わせ、山田尚子監督が「校内にある椅子や机の視点で、彼女たちを見つめているような映画です」と語った。
ご存知の通り鎧塚みぞれというキャラクターは言葉の表出が極端に少ないため、彼女の繊細な感情表現を見逃さないようにこのような画づくりがなされたのだと思います。
確か『映画 打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』関連のインタビューでアニメーションは眼球の動きひとつでも演技することができる強みがある、みたいなのをみたことがあります。
リズと青い鳥においては鎧塚みぞれの手足の仕草、目線の動き、声のトーンの変化、映像や音楽全てが彼女を表現していました。
ところで前項でこの物語の当事者は希美とみぞれ二人だけと言いました。
この物語はみぞれ視点中心に進んでいきますが途中から希美の抱える問題が浮き彫りになっていき徐々に希美の視点に迫っていくというのが大まかな物語構造になっているかと思います。
そして希美視点へと移行していく転換点に第三の女 高坂麗奈の働きがあったことを指摘しましょう。
第三の女 高坂麗奈 素敵な響きですね
リズと青い鳥は徹底的に希美とみぞれ(それとリズと青い鳥)にフォーカスされた物語であり、例えば性格の良い吉川優子や中川夏紀ちゃん(好き)は二人を見守る目として単体ではピックアップされず複数人いる中の一人として登場してますしそれは「響け!」の主人公黄前久美子も例外ではありませんでした。
しかし物語の中盤、全体練習で課題曲「リズと青い鳥」のフルートとオーボエの掛け合いが上手くいかない場面において、鎧塚みぞれを明確に見つめる高坂麗奈の視点と表情が意図的に挿入されています。
そして高坂麗奈は性格が悪いので(本人談)はっきり言ってしまうわけです、
「先輩、希美先輩と相性悪くないですか」
((C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会)
ここで注目したいのは高坂麗奈は性格が悪い女ですが(本人談)希美とみぞれのギクシャクした関係性についておそらくどうでもいい思ってるだろうし認知しているかもわからない。演奏者の想いの強さ云々よりも演奏技術の優劣を望むというのはテレビアニメシリーズでもやったことです。
しかし、本作はオリジナルタイトル『リズと青い鳥』であると同時に「響け!」シリーズでもあるわけで部活、"合奏"モノでもあるわけです。「響け!」という音楽の中でもとりわけ吹奏楽、"合奏"を通じて育まれる関係性の物語。友達の関係性に絞った話なら混じり合うことのなかったであろう鎧塚みぞれに対して、合奏面で最高のパフォーマンスが発揮されそうにないことが高坂麗奈には許せなかった。
そういう音楽に対する誰よりも真剣な視点を持っていたからこそ、吉川優子でも中川夏紀でもなく高坂麗奈が本作の数少ない当事者になることが出来たのだと思います。
余談ですがこの映画で一番好きなシーンは麗奈と久美子の合奏でして、「お、お、お、お前ら〜〜〜」とどうしてもニヤニヤがおさまらない名シーンでありますわよね。
さらに余談で先程『リズと青い鳥』も「響け!」シリーズとして部活モノの性質も持っていると話しましたがそうなると面白いのが、よろい…剣崎梨々花さんです。
ここは特に原作改変があった箇所らしいので原作未読のわたしが指摘するのはちょっと勇気がいりますが、劇伴がキャラクターや関係性の心情とリンクする本作において、合奏だけに留まらない部活モノとして、みぞれの日常面に彩りを与える存在としてやはり彼女もこの物語の当事者になっていく姿は感動的でした。希美とみぞれの関係性のシーンでは不穏な劇伴が多かった本作においてみぞれとよろ…剣崎さんは一緒のコンクールに出場するという合奏面では交わることが出来ませんでしたが、日常面において素敵なメロディを奏でることが出来たという学校生活の多面性を表した描写になっていたかと思います。
本作の最大のモチーフである『青い鳥』はすでに手の内に存在していたしあわせの形に気付くための物語。つまりは自身の内面に向き合うことを問われる物語であるように思いますが、各キャラクターの内面の写し鏡ともいえる青い鳥がそれぞれどこを向いているのかは面白い対比になりますね。
鳥カゴを怖がってた小鳥は 何も変えられやしないと泣いてばかりいた
この物語の冒頭は鎧塚みぞれの視点、鎧塚みぞれの世界からはじまります。好きな人と一緒に歩んでいるだけでも世界が彩られ音楽に満ちている。
しかしそれはあくまで一方的なみぞれ個人の視点からでした。
音楽室での合奏は二人の関係性を示していましたが途端に音楽が噛み合わずそのままの関係性が終盤まで続きます。
階段を上がり学校に入った二人。そこから本作は学校空間という鳥かごの中を執拗に描写し続けました。
響け!ユーフォニアム2を見ていて見返して気付いたのですが、ユーフォ本編は模範的な青春といいますかぶつかり合う青春。特にユーフォ2においては窓はずっと開け放たれていて、窓枠を十字架に見立てたモチーフが多用され心のうちを告白し懺悔し合う、ぶつかり合う青春が繰り広げられていたわけです。
それに比べてリズ青は冒頭で希美とみぞれが学校に入ってからラスト学校から出てくるまで一貫して学校空間の中の話。つまり鳥かごの中を執拗に描写していました。
学校ってこれ程までに格子やロッカーや棚など閉じ込めるためのモチーフに溢れた場所だと見せつけられたのは軽いホラー体験でした。
窓が開かれるのも意識的な場面のみで、閉じきった窓と無数の格子。廊下に視線が落ちる場面ですら格子の影が執拗に映し出されていました。
そこで繰り広げられるコミュニケーションはユーフォ本編のようなぶつかり合うものとは対照的にすれ違い噛み合うことのないディスコミュニケーション。
唯一学校の敷地から逃れられた場面は希美が鳥かごの中のみぞれを逃がすことから逃れられないことを自覚する哀しい場面でした。
((C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会)
最後まで噛み合わないこと。希美とみぞれがお互いに異質なものであると自覚することこそ、この物語の終着点でありました。
みぞれは希美自身の全てが好きであること(それ故フルートへの固執はない)
希美はみぞれのオーボエこそ好きであること
どうしようもなく悲しい現実を受け入れることで音楽と受験。互いの現実に向き合うことが出来た二人が終盤それぞれリズと青い鳥と参考書、音楽室と図書館という別々の道を明確に歩き出した場面にて、二人の劇伴がようやくかみ合い美しいメロディを奏ではじめるのです。
「ユーフォ」が一歩ずつ階段をどんどん上っていく作品なら、「リズと青い鳥」は個人の底にあるものに一歩ずつ下りていく作品、ということですね。
冒頭音楽室へと向かう階段を上っていく希美とみぞれ。希美が常に先導し上の位置を保ったまま階段を上っていきました。
大好きなハグの後それぞれの道を選んだ二人は待ち合わせして同じ帰り道を歩みます。
冒頭とは対称的に先に階段を下りていく希美はすべての階段を降り切る直前、コンクールでわたしがみぞれのオーボエを支えるからと表明し希美はみぞれに対して下の位置にいることを認めました。
そうやって最後の荷物を降ろした希美は階段を下りきり最後の場面でみぞれと向かい合うことが出来た。
下ろすことで新しい場所に進むことが出来る青春もあったわけです。
最後に 〜好きを語り合うのが青春だ〜
好きの言い合いっこは青春なんですよ!
自分の好きな青春映画のクライマックス付近には大抵好きの言い合いっこシーンが挿入されます。
もちろん『リズと青い鳥』の本質は青春のほろ苦さではあるけれどそういう苦い感情も含めクリエイターたちがこぞって青春をテーマにするのも、我々傍観者が青春作品に惹かれてしまうのもやっぱり人間や感情が好きだからだと思います。
だからこうやって好きな作品についていつまでも語っていたいしもっと伝えていきたい。
映画とは、そこにただある映像に過ぎません。
そこから何を持って帰るかは、われわれに任されています。逆に言えば、映画を観て得られるものは、その本人の感性や知性のレベルに見合ったものでしかない、ということです。ぼくはしょっちゅう、とっても鋭い人や頭のいい人のレビューを観て、なるほど!と思いますが、そういう人のレビューは大体肯定的だったりすることが多いです(そうじゃない場合もありますが)。
"映画を観て得られるものはその本人の感性や知性のレベルに見合ったものでしかない" ので
例えば劇中で希美が餌をあげていたミドリフグは熱帯魚の中でも他種を追いかけ回すため混泳には向かない種であることや、山田尚子渾身の「ダブルルーリード」ギャグであったり、
「お互いに同じ素因数を持ち合わせない二人だ」ということで「互いに素」という数学用語を持ち出して、そこをひもといてみたりどう描いてみようか話したり……とか。
――映画のAパート前に出てくる「disjoint」ということばですね。
はい。「互いに素」には別の英語が相応しいみたいなんですけど。「joint」が入っているのでこのことばを選びました。希美とみぞれは交わらないところもあるけれど、向き合うように描きたいなと私は最初思ってたんです。でも牛尾さんとのお話で「互いに素」ということばが出てきたときに「確かにそうやって発散し続ける二人なんだから、ちゃんとそれを描こう」と考え直しました。
数学のことなんかは見識のある人にしか拾いきれないわけです。
それでも久美子と麗奈の「お、お、お、お前ら〜〜〜」ってなるシーンの良さについて延々と語りたいし自分語りではなく映画を通した私の視点からこの映画の"好き"を語りたいと思ってここまで書いてきたわけです。
影響を受けたものに対して自意識の話しか出来ないのってもったいないしそれぞれの視点から"好き"の話が聞きたいよ。
「映画語りは、ハッピーエンドがいいよ」
((C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会)
『宇宙よりも遠い場所』と青春モノの時間と距離に関する所感
淀んだ水が溜まっているそれが一気に流れて行くのが好きだった
決壊し解放され走り出す淀みの中で蓄えた力が爆発して全てが動き出す
STAGE1「青春しゃくまんえん」
私的な感覚の話になるが、所謂青春モノと呼ばれる作品群が描こうとしているものって青春の終わり(区切り)についてなのだと思います。区切りをつけ何を選び何が残ったのか。自我のはっきりしない子供時代から人格の固まる(とされる)大人への転換期である青年期。何者でもないわたしが何者かに変容するための選択期間、モラトリアム。淀んだ、漠然としたエネルギーが動き出し絶対的な熱量に変わった後に残った残滓…
そういったものを青春だと呼びたいと思っています。
青春がそういった何かを選択するという要素で成り立っているのなら、青春モノには物理的距離や精神的距離(時間)という要素が付随します。自分とあらゆる他人や世界との距離感を量り自分の位置を定める。ひとりひとり違う生き物であるという線引きを明確に定めはじめた時期が青春なんだと思います。
青春の距離と時間を扱うこと長けた作品のひとつといえば『秒速5センチメートル』でしょう。
子供には避けられない転校による物理的距離と精神的距離の乖離
東京と栃木、遅延する時刻
東京と石垣島、現実と空想
桜の花びらが落ちる速度、ロケットを輸送する速度
わたしとあなたが歩む人生の速度
個人的に「秒速」が好きだと思う理由は遠野貴樹は新海誠の自意識の表れであり空想的な世界を進み続けた貴樹と現実を進み続けた明里は最後に少し交わり離別するが、それこそクリエイターと非クリエイターとの乖離にあるんじゃないかという解釈に拠るものです。
このような青春と時間と距離というエッセンスは『時をかける少女』『君の名は。』『打ち上げ花火、下から見るか横から見るか』『さよならの朝に約束の花をかざろう』『涼宮ハルヒの消失』など青春モノの名作アニメに散見される。
(めちゃくちゃ個人的なチョイス、異論は認める)
もちろんタイムトラベルやループものが単純にシナリオとして面白くなりやすいというのは多分にあるが、現在過去未来を巡り世界の広さを知り自分の内面と対峙した上でどのような"今"を選ぶのかという命題は迷える青春時代との親和性が非常に高い。
『宇宙よりも遠い場所 』でもっとも素晴らしいと思う点は題名から距離感に関わるものだと示されていた通り、ずっとあらゆる距離感について描き続けていたこと。
- 玉木マリ
漠然と抱いていた世界と自分との距離感、自分の青春は何処にあるのか?
自分が動き出したことで親友?高橋めぐみとの間の絶対的な隔たりを知る
- 小淵沢報瀬
母との距離
南極という物理的な距離を埋めた彼女の最後の課題は母との精神的距離を埋められるかだった
- 三宅日向
「普通」の学生(人生設計)との距離
- 白石結月
「普通」の友達(または芸能人と一般人)との距離
正直言うともっと爽やかで甘酸っぱい冒険モノに落ち着くかと思っていたが三宅日向、白石結月のような一般社会におけるイレギュラー(あえてそう呼びます)が登場してきたのが驚きだし、これほど"わたしとあなたが違うということ"に誠実な作品はないと思った。
普通とイレギュラーの対比がもっとも際立ったのはSTAGE11「ドラム缶でぶっ飛ばせ!」
三宅日向の旧友(語弊)がテレビの中継先に現れる。自分の道を進み南極まで来た日向と時間が止まったままの場所から過去を清算しようと目論む旧友達(語弊)
イレギュラーでも進み続る人と立ち止まったままで何も変わらない人との対比
そんな旧友へ報瀬から最高のパンチライン
日向はもうとっくに前を向いて もうとっくに歩き出しているから
私は日向と違って性格悪いからはっきり言う
あなたたちはそのままもやもやした気持ちを引きずって生きていきなよ
人を傷つけて苦しめたんだよ それが人を傷つけた代償だよ私の友達を傷つけた代償だよ
今更なによ ざけんなよSTAGE11「ドラム缶でぶっ飛ばせ!」
「ざけんなよ」
そして物語はSTAGE12まで来たところで題名を回収しメインテーマである小淵沢報瀬の目的にフォーカスされる。
それはまるで夢のようで
あれ 醒めない 醒めないぞって思っていて
それがいつまでも続いて
まだ…続いている
わかってる 何のためにここまで来たんだって
でも…そこに着いたらもう先はない
もし行って何も変わらなかったら
一生いまの気持ちのままなんだってSTAGE12「宇宙よりも遠い場所」
覚めていても醒めない夢
「あなたたちはそのままもやもやした気持ちを引きずって生きていきなよ」と言い放った報瀬こそ、もやもやを抱えながら生きていくことをもっともおそれていた事が分かった。
"宇宙よりも遠い場所"とは報瀬と母、断絶した心の距離。この世の何処にも実在しない距離感であった。
しかし、そのように誰も(他人が)足を踏み入れる事が出来ない領域へ報瀬を導いたのは他ならぬ報瀬自身。1483日南極と母に宛て紡ぎ続けたメール、歩み続けた自身の成果だった。
STAGE12「宇宙よりも遠い場所」
(自分の成果で自分が報われる話が特に好きなのでボロ泣きしてしまった)
"淀んだ水が溜まっているそれが一気に流れて行くのが好きだった"
あのシーン、報瀬がどういう想いを抱いたのか真意は映像のみに委ねられるが水はいずれどこかに流れ着くわけで、それがあの場所だったというわけです。
人は一人で勝手に助かるだけ。誰かが誰かを助けることなどできない。
周りの存在が影響を与えることは出来るが真に自分を変えられるのは自分の意思によってのみ。まさに金言ですね。
当ブログはアイカツブログなので(そうなのか?)アイカツスターズ!において青春の時間と距離をドラマチックに表した「Summer Tears Diary」を引用する。
いつかは思い出のなかで
キミを探しても気づけない日が来て
すれ違う人の顔に少しずつぼやけちゃうのかなオトナになれば 時間も距離もカンタンに越えられるのに
きっとそれには間に合わないの
なんて…、のみ込むオモイが痛い
「Summer Tears Diary」
アイカツスターズ!ミュージックビデオ『Summer Tears Diary』をお届け♪ - YouTube
※引用は2番の歌詞なのでMVには入っていません
これは"9月になれば遠く離れて 違う制服を着てる"ティーンエイジャーの心情がモチーフの楽曲である。
オトナなれば時間も距離も簡単に超えられるということは決してないが、そういうオトナを羨む気持ちや今はまだ間に合わないと"自覚"することこそ青春モノの根底にあるのだと思う。
例えば上で挙げた『時をかける少女』『君の名は。』『打ち上げ花火、下から見るか横から見るか』『さよならの朝に約束の花をかざろう』『涼宮ハルヒの消失』はすべて、"今は間に合わない"ことを自覚するための物語であったといえると思う。
オトナじゃないから経験も知識も財力も足りない、自分は何もかもを選びとることが出来ない、"今は間に合わない"と理解するオトナ未満の期間。これこそ青春モノのエッセンスだと思う。
そしてだからこそ、
それらを踏まえた上で、"今"に間に合わせてしまった『宇宙よりも遠い場所』が大傑作なんだと言いたい。
旅に出てはじめて知ることがある
この景色がかけがえのないものだということ
自分が見ていなくても人も世界も変わっていくこと
何もない一日など存在しないということ
自分の家に匂いがあること
それを知るためにも 足を動かそう
知らない景色が見えるまで 足を動かし続けよう
何処まで行っても世界は広くて
新しい何かは必ず見つかるから
ちょっぴりこわいけどきっと出来る
だって
同じ想いの人はすぐ気づいてくれるからSTAGE13「きっとまた旅に出る」
成果といえばお金の話も挙げておきたい。
サブタイトルSTAGE1「青春しゃくまんえん」に示されていた様に、何かをするにはお金が必要でたとえば南極で青春するのに100万円必要だと言われた時子供ならおそらく諦める。だってまだ子供なので。
しかし小淵沢報瀬は南極に行くためのお金も手段も情報も自力でこじ開けてきた。足を動かし続けてきた。だからこそ最高の仲間、最高の笑顔を見つけることが出来た。
足を動かし続ける青春ということでテレビアニメ『氷菓』の話をする。
『氷菓』の主人公折木奉太郎は「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」の省エネ主義がモットーであり、本稿が説明してきた”淀みの中で蓄えた力が爆発して全てが動き出す”ことや”足を動かし続ける”青春について真逆のスタンスの人物である。
『氷菓』のエッセンスは「青春」と「ミステリ」にあるが、省エネ主義の折木奉太郎の役割は安楽椅子探偵(場に赴くことなく事件を推理する探偵)であり先程説明した足を動かす青春とは真逆のスタンスを強調している。…にも関わらず結局他の登場人物に巻き込まれながら誰よりも足を動かし青春を謳歌させられてしまう物語構成となっている。
アニメでの最終話「遠まわりする雛」はそのまま距離感に関する話であったしそれに続く原作単行本「ふたりの距離の概算」はもろに青春の時間と距離についての話となっている。
ここまでの説明の通り、青春モノとは巡った時間と距離の分だけ大きなエモを生み出す物語構造となる(ことが多い)わけで、
やっぱり大好きで仕方ないというのが青春モノに対する個人的な所感である。
最後におれの青春であったアイカツスターズ!から引用の引用をする。
白銀リリィ
ゲーテは言いました
人が旅するのは到着するためではなく 旅するためであると
アイカツスターズ !第100話「まだ見ぬ未来へ☆」
「ここから、ここから」
「きっとまた旅に出る」
そして次の曲がはじまるのです
ゆずっとリリィ☆とアイカツスターズ !に宛てて - Theses suns -
まず本稿の要旨
ユニットの様な目に見える関係性に拠らない人間模様を描き続けたアイカツスターズ !が最後に最強のユニット回を持ってくることに意味があるのですよ これもひとつの到達点 「ゆずっとリリィ☆」100000点
— ゆずっと穏やか☆ (@S16g_evo) 2018年3月15日
ゆ"ずっと"リリィ☆
アイカツスターズ !概要
以前にも書いたことですがアイカツスターズ!のテーマ性がもっとも込められた楽曲は
「 episode Solo」と「Jewel Star Friendship☆」であると思う。
孤独をおそれない 女の子がいる
おんなじ勇気をもってる 仲間がいる
episode Solo
集まったら good collaboration
最強のLIVE『episode Solo』
ステージの上はひとり だけど孤独じゃないね
いつも、いつも、感じているよ 存在がうれしいの(〜)
光の行方に 目をこらしながら探す
たくさんの笑顔に会えますように
この日々を未来に 永遠(とわ)へと続く一歩に 輝きをかさねてく『Jewel Star Friendship☆』
所謂孤独をおそれない女の子の"複数形"でアイカツスター"ズ "!という最強の物語群になるということは、この作品が個人に焦点を絞ったエピソード(輝き)をかさね続けてきたことを振り返れば分かるかと思います。
アイカツスターズ !とユニット関係
アイカツ!におけるチーム関係性といえばパートナーズカップ、トゥインクル・スターカップ、ユニットカップ、大スターライト学園祭等で扱われたユニット関係に由来するのもがほとんどであったし、アイドルとデザイナーの関係性も一種のユニット的な関係といえるでしょう
それに対してアイカツスターズ!という作品はユニットの様な目に見える関係性、に拠らない人間模様を描き続けてきた。
いくつか挙げてみると
「 POPCORN DREAMING♪」ゆめロラ
「みつばちのキス」ゆめロラ・まひロラ
「Summer Tears Diary」まひ夜空
「One Step」SKY-GIRL・ゆずこしょう
「アニマルカーニバル」ゆずリリ(42話準拠)
「ハッピー☆パンチ」ゆめあこ
「おやすみメリー」きらあこ
「Message of a Rainbow」ゆめこは
Message of a Rainbowだけ後述しますがきらあこも正式なユニット活動ではないし(きららはまた海外に飛んだし)いずれもその時々で高め合うために必要な限定的な集まりであり、継続的なユニット活動については徹底的に避けてきました。アイドルとデザイナーの関係性についてもアイカツスターズ !においてはアイカツ!で描かれた様な共同作業というよりデザイナーはアイドルの想いをデザインに落とし込むことが役割で、重要視されたのはアイドル個人の作家性でありドレスデザインもまた孤独な闘いであるというエピソードソロ性に準拠する物語構造になっていました。
そしてそこまで徹底的にアイカツ!準拠の関係性を避け遠回りしてきたからこそミューズとトップデザイナーが手を取り合ってひとつの作品を作り上げるというアイカツ!性に回帰した、「Message of a Rainbow」におけるゆめと小春の関係性こそがアイカツスターズ !におけるユニット関係の到達点の様に思えました。
しかしそれもこれもアイカツスターズ !98話「ゆずっとリリィ☆」以前のお話である。
アイカツスターズ !第98話「ゆずっとリリィ☆」
[脚本:成田良美/絵コンテ・演出: 中島大輔/作画監督:前澤弘美、中野彰子、西島加奈]
所謂神回である
以下名セリフ抜粋
助ける為じゃないよ ゆずがリリエンヌといたいんだ
やっぱりリリエンヌはすごいよ
いつも見てる景色なのにリリエンヌと見るとすっごく綺麗に見えるよゆずのハートが叫ぶんだ
リリエンヌといたいってわたしは身に余るほどの夢を叶えました
これ以上望んでもいいものでしょうかアイカツスターズ !第98話「ゆずっとリリィ☆」
ゆず様海外行きを蹴ってリリエンヌとずっともだよ!エンドは自分も妄想していて解釈の完全一致だったわけですがまさかプロポーズ結婚エンドとはおどろいたゾ☆
ゆず様って本当にふざけてる時と真面目なことを言ってるのを誤魔化す時 語尾にゾ☆をつけるんですけど、上記引用セリフは誤魔化しなしのガチガチのガチな訳で流石の白銀リリィもただプロポーズを受け入れる乙女になってしまうんですよね…
(第63話「ツンドラから吹く熱い風」ステージ前の「歌ってくれる?リリエンヌ」もヤバかったよね…)
月と太陽
ここまで書いてきた方通りアイカツスターズ !ではユニットの様な目に見える関係より物理的距離が離れていても感じる存在や離れていた時間の中で育まれた関係性についてこそ描いてきました。
- 第15話「月と太陽」で香澄姉妹が通じ合った心はS4決定戦や夜空がイタリアに飛んでからもずっと繋がっていること
- 劇場版アイカツスターズ!や第16話「ミラクル☆バトンタッチ」、第29話「本当のライバル」等々通じ合っては離れ、しかし離れている間も相手を想い合うゆめとローラのライバル関係
- 転校により伝えられなかった互いの想いは離れ離れになっている間に育まれ、再開後また遠回りしたものの気持ちを確かめ合ってレインボーベリーパルフェをつくりあげたことゆめと小春
互いにとって高め合える存在を目指してきたアイカツスターズ!の関係性ですが最大の目標であるS4の理念というのはアイカツ界を照らす夜の道しるべとなること(月や星座の隠喩と考えられる)であり、アニメ本編文脈外ですがDCDにて星のツバサ編のキャラクターには夜の道しるべではなく昼に輝く太陽のドレスが与えられることに着地しました。虹野ゆめが「みんなで輝く!」と反復してきたように互いにとっての太陽となる事(Theses suns)こそ26代目S4世代が積み重ねてきたことであり星のツバサ編の総決算だといえます。特にゆずとリリィが互いにとって太陽であるという関係性は第42話「幼なじみのふたり」や第88話「お正月だゾ☆全員集合!」などで反復され続けてきました。
夜の道しるべである月と真昼を照らす太陽の質の違いといいますか、夜空の星は手の届くか分からない夢みたいな指針であり空想的・概念的なもの、昼の太陽は生活に不可欠な現実的なもの、みたいに区分できるのではとわたしは考えます。
二階堂ゆずは何が待ってるからわからない未知へと続く夢(世界進出)よりこれまでの生活の中で必要だったものを確認すること、ある意味退行すること(夢よりも現実を優先すること)で自分に本当に必要なものを見出すための「ゆずっとリリィ☆」であったように思いますし、これまで目に見える繋がりに拠らない人間模様を描き続けてきたアイカツスターズ!の最終盤に宛てて最高のユニット結成回をぶち込んできたのが本当にかけがえのない積み重ねの成果だと思うわけです。
(ある意味退行的な下手側への動き)
(だからこそ"一緒に"見れる景色があった)
リリィとエルザとエルザビーフと
アイカツスターズ !において誰よりも見果てぬ夢に想いを馳せて人物といえば
【Dreaming bird】の白銀リリィと
【Forever Dream】のエルザ フォルテだと考えます
代表曲にも表れている様に二人とも見果てぬ夢、永遠性、概念的なものを誰よりも志向していた人物だと思うからです
[リリィとエルザ対比論はこちら進むリリィと動かぬエルザ アイカツスターズ!星のツバサ概論 - パンがないなら作ってやるわ]
エルザ フォルテが本当に欲していたものが太陽のドレスや世界一のアイドルという概念的な夢でなく、母の愛と大切な仲間たちだったこと
白銀リリィが本編中の最後に叶えた身に余るほどの夢が「ゆずっとリリィ☆」結成であったこと
もっとも概念的な夢を志向していたふたりが共に、自身が手に入れていた現実的な成果を確認し心の荷を仲間と分け合うに至る流れが本当に美しいですし、私がアイカツスターズ !という作品を特別に思う根拠はこういうところに詰まっていたのだと思います
見果てぬ夢から互いの太陽になるという現実に帰結したアイドルたちが、物語の最後に白鳥ひめの「夜のスタートライン」によってまた新しい夢を追いかけはじめ孤独をおそれない女の子の物語は終わらない、というのがアイカツスターズ!という物語なんだと思います。
最後にエルザビーフについて言及しなくてはなりません
第98話の最後にエルザビーフが登場したのは何もハルカ☆ルカ最後の渾身ギャグで炎上するため"だけ"ではありません
太陽のドレスという夢を志向し続けたエルザ フォルテには常に食事の描写がつきまとっていました。食事、食肉という極めて現実的な行為は他の命に生かされているという人間的な問題を強調する描写でありましたし、太陽のドレスに固執しすぎて道を見失いそうだった時もエルザ フォルテが常に現実に生きる人間であるということを示唆していたわけです。
(最終トーナメントに残れず引き篭もるきららに、食肉し現実に生きることを諭すことが出来たのは他ならぬエルザでした)
だからこそ同じような夢を志向していた白銀リリィとエルザ フォルテとエルザビーフが交わった第98話のラストがどうしようもなく美しいラストであったのだという雑な言及を強調して本稿を締めたいと思います。