→NOT ODAYAKA!

おだやかじゃなかった備忘録

アイカツ!が示したもの、アイカツスターズ!が示そうとしているもの

 f:id:odayakana:20161103045621p:image

アイカツスターズ!29話が素晴らしかったので綴ってみる。

 

アイカツ!シリーズには2つのテーマがあると思う。

ひとつは「憧れが原動力になる」ということ。

憧れ(目標)が存在することで近づきたいと頑張ることが出来るし、目標を通して自分がどうなりたいか考え努力することがそのままアイドル活動だといえる。

もうひとつのテーマは「継続の大切さ」。

目標に近づくためには努力し続けなければならないし、目標を達成してもそこはまた新しいスタートラインだということをこの作品は繰り返し伝え続けている。

アイドルを通じてそのようなテーマを盛り込んだ”未来向きの今”を伝える物語がアイカツ!であり、スターズ!も間違えなくその流れを汲んだ物語になっているが、アイカツ!とスターズ!では見せ方に大きな違いがある。

 アイカツ!はアイドルと”文化”を軸に物語を展開していた。

アイカツ!の最大要素であったブランドとはライフスタイル(文化)の象徴であり、キュートやクールの様な属性分けからクールの中でもロックやゴシックやダンス系などに細分化されそれが各アイドルの特徴になる。2期以降はボヘミアンチロリアン、フラメンコ、和風など国際的なモチーフが増え、4期では日本全国の文化に触れる旅をした。

それぞれの文化の象徴であるアイドル達が登場し、高みを目指し合うのがアイカツ!の構造になっていた。

紫吹やひなきの様にブランドのミューズになる為に、プレミアムドレスをもらう為に頑張る話が沢山あり、そのような開かれたチャンスでのアイドルの成長が物語の要であった。なのでプレミアムドレスを手に入れてからの大会は勝つことが全てではなく、それぞれが高みを目指すための場であり、敗者も勝者も讃えられる美しい構造になっていた。

 

”文化”を通してアイドルや世界の在り方を示したアイカツ!とは異なりスターズ!が目指していると感じるのはより”個性”に迫ること。”文化”(ブランド)はその人の好きなモチーフが散りばめられた個性の象徴だといったが、さらに根源的な”個性”を見つけようというのがスターズ!の命題だと思う。だから白鳥ひめはオリジナルブランドを作ったし白銀リリィもオリジナルブランドに拘っている。響アンナ先生はローラに大事なのは”個性”だと伝える。

スターズ!の世界の一番の特徴はS4システムにある。ひたすら高みを目指し讃え合うアイカツ!と違いスターズ!では最高の舞台(S4)の枠がはじめから定められており、舞台に上がれる者とそうでない者がはっきり分かれる構造になっている。アイカツ!では方向性が間違っていない努力は報われるべきだと伝えていたが、スターズ!の21話や29話では正しい方向性で努力を重ねたローラがゆめの才能に完敗する様を見せつけられるハードな回だった。そういう才能の差や白銀リリィに示される体力面の差、世界は平等ではないということをスターズ!は意識させる構造になっている。

スターズ!29話で象徴的なシーンがある。

f:id:odayakana:20161103045726p:image

アンナ先生が花畑の前でローラを激励すこのシーンはスターズ!が描こうとしている”個性”や可能性の広がりを予感させる素晴らしいカットだと感じた。これを見たときにスターズ!は本気で「世界に一つだけの花」の物語を展開する気なのだと気付き泣いてしまった。

スターズ!は全てが平等ではないそんな当たり前の世界の中で、自分の”個性”と向き合い本当の”夢”を見つける。そんな物語になると思う。スターズ!のメインキャラである一年生組が本当の夢、本当の個性と向き合い始めるのはこれからだ。