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Not that it is NOT ODAYAKA

進むリリィと動かぬエルザ アイカツスターズ!星のツバサ概論

本稿はアイカツスターズ!第90話「ヴィーナス クライシス!」に至るまでの軌跡と星のツバサ編の展望に宛てて書かれたものである。

 

アイカツスターズ!概論

アイカツ!が最終回のラストに至るまではじまり続けるSTART DASH SENSATIONな人のための物語だったようにアイカツスターズ!もSTARDOM!のバタフライエフェクト引用 "ひとひらの蝶が はばたきを知り やがて風になる" の通り旋風を起こすため"進み続ける"人たちの物語である。

そういう強い人々の放つ光が星となり合わさって、

孤独をおそれない女の子の複数形「アイカツスターズ!」という最強の物語群に収束するわけです。

 

 

ステージの上はひとり だけど孤独じゃないね
いつも、いつも、感じているよ 存在がうれしいよ 

 

"Jewel Star Friendship☆"

 

 

進む白銀リリィ

そういった"未来向きの今"を"進み続ける"アイドル達の中で最も異端といえる存在が白銀リリィであり、最も身体の弱い彼女の成長には身体的・精神的にも進み続ける事、挑戦し続ける事が伴っていた。療養で動けない期間が長かった彼女は進むこと・挑戦することに関して誰よりも真剣に向き合ってきた。

 

物理的な動きとしては白鳥ひめのPRの打ち合わせにゆめと共に同行(27話)、ローラとの温泉合宿(33話)、ブランド立ち上げのための雪山合宿審査(39話)、ファン感謝ツアーでの電車・ヘリ移動(63話)と読書家でインドアなイメージから離れ、かなり動き回っているのが分かる。

身体・精神的な挑戦としてもゆずゾの為に正反対のイメージのブランドドレスを着てみたり(42話)、苦手な運動(腕立て伏せや跳び箱)に挑戦するなどめちゃくちゃ頑張っている(53話・88話)。

 

なによりリリィが星のツバサ獲得に至る着想のきっかけは、

 『書を捨てよ 町に出よう』

 

"53話「オープンセサミ!星のツバサを手に入れろ!」より寺山修司による評論"" 

 である。

読書家である白銀リリィにとって最高にロックな生き様ではないか。

 

進み(動き)続けることへの執着が特に現れるのが「荒野の奇跡」のステージである。この曲の振り付けの異常なステップ数や片足重心の多様に現れる不安定さと気迫は尋常ではない。「荒野の奇跡」は歌唱難度が高い楽曲にも関わらずクルクルひらひらと執拗に舞い続ける。

「白銀リリィ このひとときに 魂を込めて」

 

これを強く実感したのは AIKATSU☆STARS! スペシャルLIVE TOURにて白銀リリィの歌唱担当松岡ななせさんの「荒野の奇跡」をみたからである。アニメだとCGの美しさとキャラクターの軽やかさで気付きにくいが、生でフルサイズでこの曲を歌い踊るということが如何に難しいことであるかを見せつけられたし、魂の籠められたステージとはこういうものだという尋常ではない気迫や危うさに満ちたステージになっていた。

 

Dreaming birdから荒野の奇跡へ

アイカツスターズ!におけるファッションショーステージはランウェイはみんなの滑走路という意味を汲み取り、「未来トランジット」や「So Beautiful Story」の様に未来に向かって進む意思を明確にする楽曲がほとんどの場合組み込まれており「Dreaming bird」もその文脈に当てはまる。

 

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アニメの文脈でいうと自身のブランドを立ち上げるという夢のために「Dreaming bird」を歌い進み続けたリリィはついに第39話「四ツ星学園、危機一髪⁉︎」にて自身のブランド「Gothic Victoria」を立ち上げるという夢を叶える。

夢を叶えるにあたり舞台設定がファッションショーからライブに変更された。

 

 

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ランウェイから円形ステージへ。これはブランド立ち上げという安住の夢を叶えたからではなく「Dreaming bird」の歌詞 "その場所へ 飛んでいくことはできない でもせめて この歌だけでも届け" の通りこの場所からでも歌声を届けることが出来る、進み続けることが出来ることに気付いたからである。

その精神がことさら強調されるのが「荒野の奇跡」の舞台設定。

 

 

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 開かれていた「Dreaming bird」とは異なり もはや出口のない鳥籠の中のステージになっているが、アニメではサビに入った瞬間床のステンドグラスが弾け上記の様な時計ネジが露わとなる。

星のツバサ獲得後追加されたステージ前の口上

「ドレスに誓う 永遠の輝きを」

 

白銀リリィは時代に左右されぬ永遠の普遍性を持つドレスを作ることを夢見てきた。これは例え閉じた鳥籠の中からでも時計ネジが示唆する様に時空を超えて輝き続けるドレスや歌を届けられる、届けたいというリリィの精神性が現れたものだと思う。

魂の内なる情熱を外に向かって歌い続けるのが「Dreaming bird」であり「荒野の奇跡」であり白銀リリィという進み続けるアイドルの在り方である。

 

 

 

動かぬエルザ フォルテ

情熱を外に放ち続ける「荒野の奇跡」のステージと対照的なのがエルザ フォルテの「Forever Dream」である。

 

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鳥籠に囲われた「荒野の奇跡」にも似た王冠に囚われたステージの中、エルザ フォルテの動きは中心点から大きく動かず、振り付けの殆どが中心に帰結するためにあるような弧を描く動きである。

 

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「The only sun light」に至っては舞台装置が太陽系をモチーフに自身がその中心に位置することを信じて疑わない姿勢を見せている。

 

リリィの片足重心多様の不安定なダンスとは対照的にエルザ フォルテは両足を強く踏みしめ威風堂々の立ち振る舞いといったところだ。

内なる情熱が世界を巻き込みやがて自分の中に収束されんと信じ(今いる位置が正解と信じて疑わない)動かないアイドルがエルザ フォルテである。

 

進み続ける白銀リリィと動かないエルザ フォルテは劇中もっとも対照的な二人になっているといえる。

 

 

 

エルザ フォルテの空

かつてのエルザ フォルテはアイドルを選別するため世界中を飛び回り適切なプロデュース手腕によって誰よりも成果を上げてきたアイドルであった。

太陽のドレスに執拗に囚われるまでは。

 

本編中何度も登場する印象的なカットがある

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左は大海(自然) 右は水槽(人口)

どちらにも馴染まず 玉座に囚われるエルザ フォルテ

「Forever Dream」が未だ見ぬ夢に想いを(自然に)ゆだねるための歌だとしたら、

「The only sun light」は築き上げてきた自分自身(人口)が答えだと宣言するかのような歌に受け取れる。

 

私でさえ知らない 私が待っている

Dreams Will Come True
瞳を閉じれば 見える世界 叶うと信じている
銀の風に すべてをゆだねて
抱きしめたい 夢色のダイヤモンド

 

"Forever Dream"

 

Everybody hear me nowこの歌で 輝き続けるの

絵に描いたような理想より 湧き上がる想いを込めるだけ

追いかけてきてもっともっと babe

道を照らしてあげるわ

The only sun light

 

"The only sun light'

 

 

本当の願い(母の寵愛)に身をゆだねることが出来ず、自身の築き上げたイメージに挟まれ身動きがとれなくなったエルザ フォルテを示唆したカットだと解釈している。

客船って世界中の海を巡ることが出来るけどその反面海の外には出られないんですよね。

 

白銀リリィをはじめとして動き続ける四ツ星学園アイドルとの交流に影響を受けた花園きらら・騎咲レイと、VAに所属しながら四ツ星(白鳥ひめ・虹野ゆめ)に導かれている "双葉" アリアが外に目を向け交流を進めていくなかで、停滞し淀んでいくエルザ フォルテの空…

 

 

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episode Lily

白銀リリィは自分の意思で進み続ける強い人だけれども(42話「幼なじみのふたり」)や(88話「お正月だゾ☆全員集合!」)で現れた様に自身の身体の弱さに対する負い目も勿論抱えていて、それでもここまで進んで来れたのはいつも側にゆず様が居たからなんですよ。

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第39話「四ツ星学園、危機一髪⁉︎」にて自身の店が完成した際のリリィとオーナー・ピロシェンコとの一コマ

「気に入ったかい?」

最後まで諦めることなく 自らの手で掴みとった夢ですから
「ひとりの力だと?」

そうです、ブランドの立ち上げに追われていたリリィに代わってゆめや有莉ちむ、ゆず様達が店の設営に携わっていたのです。

雪山審査の時も体調不良のリリィをケアしたのはゆめとローラでした。

 

夢は誰にも頼らず 自らの手で掴みとるものだと思っていました
でも それは愚かな考えでした
私は知らぬ間に多くの人の力を借りていた
いつも誰かに助けられていた
本当にありがとう

 

さらにそれを充足する話が第63話「ツンドラから吹く熱い風」でありこれはリリィがツアーガイドに挑戦する話ですが、次々と発生する問題に対してリリィは「なんとかなりませんか?」と懇願するばかりで問題を解決するのは職業体験に勤しんでいた四ツ星S4たちである。

 

極めつけが、かつて虹野ゆめに対して「想像するだけでは意味がありません」と言い放ったリリィが終盤「ゆめさんを信じます」(空想的な夢を信じるの比喩)と夢の力を信じられる様になった心境の変化を描いている。

人を頼り、信じる事によって歌い上げたステージに対してゆめは

「すごいなぁ 星のツバサをゲットしても立ち止まるどころか どんどんスピードアップしていきますね」

とリリィの進み続ける姿勢を讃え、自分も頑張らないとと奮起するのでした。

 

 

互いの道標となること

「STARDOM!」「MUSIC of DREAM!!!」いずれも"未だ見ぬ誰かを信じ導くための歌"であるのは、信じる者とそれに応える者の相互関係の中に生まれる化学変化こそアイカツスターズ!のエモが詰まっているからでしょう。

 

わたし真昼の成長が嬉しかった
それにあの娘がいたから、必死に追いかけてくる真昼がいたから、わたしも頑張れたの
ライバルの存在ってとっても贅沢なものなのよ
いまでは真昼がわたしの一番星 

 

"64話「星に願いを」"

 

信じてもらった者が今度は与える者となりそれが反復し相乗効果を生む。

"憧れは次の 憧れを生む"

 

ゆず様とリリィが互いにとっての太陽であったように 、ゆめと小春・ゆめとローラ・真昼と夜空・きららとあこ等々無数に伸びる相関図が互いを輝かせるための道標となること。

大好きやありがとうの応酬によってさらに強くなれること。これこそがアイカツスターズ!が反復し続けていることである。

 

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「全部わたしの言葉だよっ」

 

 

 

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 同じ仲間と 同じ景色を見れたら
最高だよね そうでしょう!?
暗い空を 飾り付けるような
Starlight

 

"MUSIC of DREAM!!!"

 

 

エルザ フォルテを救うのは

自分を強くしてくれる他者の存在を認めることでさらに強くなれる、今まで説明したことはそんなところです。

世界中を飛び回り誰よりも他者に影響を与えてきたものの理想に固執し動けなくなったエルザ フォルテを誰が救うのか。
いくつか提示されているエルザ フォルテを救うヒントの中でも好きなもの紹介します。

エルザ母の言葉と白銀リリィの引用、香澄夜空と騎咲レイのやりとり 

 

「眩しい世界にいると 時々見えなくなってしまうでしょう はじめに目指したはずの理想や夢 星の輝きが」

 

ユキエ グレース フォルテ

"89話「星々のダイアリー」"

 

「光の中を一人で歩むよりも 闇の中を友人と共に歩むほうが良い」

 

ヘレン・ケラーからの引用

"43話「幼なじみのふたり」"

 

「夜空のことを一番星といっていた。つまり真昼にとっての夜空は、わたしにとってのエルザなんだよ、絶対的な輝きをもつ道しるべ」
「うーん、それは少し違うかな。わたしと真昼はライバルでもあるの。でもエルザちゃんにはライバルはいないでしょ」
「とうぜんだよ」
「だとしたらエルザちゃんって孤独かもね」
「孤独、エルザが」

 

"64話「星に願いを」"

 

90話 「ヴィーナス クライシス!」にてきららがエルザのために自ら動きかけることを決めたことや、レイが「もっともっと輝いて君を取り戻してみせる 覚悟をしておいてもらうからね」とエルザと並び立つ星になることを誓いようやくエルザ フォルテを救う手立てが整ってきたわけです。

 

重荷を分け合い笑顔を取り戻したエルザ フォルテが最終回付近VA4人組とBon Bon Voyage!を披露したら泣いてしまうよね…

 

太陽も月も何度もこえて
Bon Voyage ! どこまで行けるか、なんて
どこまで行ってみたいか次第でしょ
世界で一番に目覚める陽を明日も見たい

"Bon Bon Voyage ! "

 

 

 

月がきれい

 散々CMが打たれているのでネタバレもクソもないが真ラスボスこと白鳥ひめのドレスは"月のドレス"である。

月はいうまでもなく太陽光を浴びてはじめて輝くことの出来る衛星。

白鳥ひめは言うでしょう、

エルザちゃんが居たからわたしはもっと輝けた

 

 

 

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孤高のエルザとS4の樹の存在を感じながら月を眺めるひめパイセン

 

桜庭ローラ/騎咲レイの歌唱担当の藤城りえさんがありえんエモいこと呟いてたので引用します。

 

 

 

わたしの書いてきたことが全て要約されてしまっていますね(汗)💦

 

 

 星のツバサの獲得というテーマはアイドルとして表現すること、デザイナーとして表現することすべてが個人に担われている孤独な闘いでした。

そういうepisode Soloにありながら自分を支えてくれたものの存在を感じることでもっと輝ける、もっと強くなれる、これがアイカツスターズ!が反復してきたことです。

 

なので進むことを忘れ孤独のまま道標になってしまったエルザ フォルテ最後の課題は今まで自分を支えてきた存在に気付くことが出来るかに尽きると思います。

 

 

本当は星のツバサの獲得という孤独なテーマすら小春ちゃんと共に成し遂げた

「ドレスが、"みんな"を輝かせる!」虹野ゆめと

「"私"こそが、パーフェクト!」エルザ フォルテ

の比較論が正統なんでしょうが白銀リリィをリスペクトするオタクなのでこの様な論考になりました。

 

最後になりますが星のツバサ戦線に加わらなかった早乙女あこにも当然彼女が目指す一番星がありepisode Soloの闘いを続けています。

本当の最終話がどうなるか分かりませんが皆がそれぞれ目指す一番星となり、笑顔になれる事を心待ちにしています。

 

 

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ステージの上はひとり だけど孤独じゃないね
いつも、いつも、感じているよ 存在がうれしいよ


"Jewel Star Friendship☆"

 

 

 

1.25(追記)

アニメ本編の解釈を語るにあたりフォトカツ曲「Jewel Star Friendship☆」を引用していいのかというご指摘を受けました。

まず「Jewel Star Friendship☆」のテーマは「episode Solo」の内容の反復であるしそれを第25代S4に直接あてはめられた曲だと思ってます。

「episode Solo」の歌詞が抽象的なのは本稿で説明した通り皆それぞれ個人で闘っている、しかしそういう力が合わさって "集まったら good collaboration 最強のLIVE" の様にさらに高みに昇れるというアイカツスターズ!全体のテーマを歌っていると思うからです。

そしてそれを直接第25代S4の関係性にあてはめたのが「Jewel Star Friendship☆」であり「孤独だけど孤独じゃない最強の関係性」とやはりテーマは共通していると思います。

なによりJSF☆に関してはMUSIC of DREAM!!!が表題で星のツバサ編に忠実な構成になっているAIKATSU☆STARS!さんの全国ツアーにて全公演クライマックスで披露されている曲なので間違いなくアイカツスターズ!正史の文脈で語られるべき曲だと、そう解釈しています。

(MF2016で重要されたアイカツ!における「ドラマチックガール」も同じように解釈しています)

 

 

改めて自分の文を読み返してみると本編と歌詞の引用まみれになっており引用を駆使した上で自分の言葉を語る白銀リリィの様な人物を目指せよと思ってしまうのですが、多分一番言いたかったのは大切なことはすべて本編に示されているので本編をよく解釈してみて下さいということだと思います。

3月でアイカツスターズ!が "区切り" を迎えたとしても本編や楽曲を再解釈して学べること、汲み取れることはまだまだ星の数ほど出てくるでしょう。

なによりアイカツシリーズが誰かの "道しるべ" になることを目標としていたようにアイカツ!とアイカツスターズ!はすでに "わたしの道しるべ"  として空に輝いているので、この先シリーズがどんな未来を歩もうと大切なものはすでに受けとっているのです。